2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12042242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30222368)
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Keywords | ラジカル反応 / 多成分カップリング反応 / イミドイル化反応 / カルボニル化反応 / イソニトリル / シリルテルリド / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
新しい多成分カップリング反応の開発は有機合成において重要な課題である。この目的のためには、各反応素過程の本質的な理解が不可欠である。そこで本研究では、ラジカル活性種を用いる多成分カップリング反応に着目し、その素過程としてイミドイル化反応について、類似の反応であるカルボニル化反応と比較しながら合成的および理論的に反応性の違いについて詳細な検討を行った。 すなわち、有機テルル化合物から可逆的に生成する炭素ラジカルとイソニトリルとの反応を検討したところ、イミドイル化反応が類似の反応であるカルボニル化反応に比べて合成的な適用範囲が広いことを明らかにした。特に、アシルラジカルやグリコシルラジカルなどの安定ラジカルとの反応に優れており、イソニトリルが一炭素の増炭反応に有用な反応試薬であることを明らかにした。さらに、イミドイル化反応とカルボニル化反応の違いについて理論計算を行ったところ、反応性の違いが動力学的な要因にあるのではなく、生成するイミドイルラジカルとアシルラジカルの安定性の違いによっており、イミドイル化反応が実質上非可逆的に進んでいることを明らかにした。 さらに、ラジカル反応を用いたカルボニル炭素での炭素-炭素結合生成反応の開発を目指して検討を行った結果、シリルテルリド、カルボニル化合物、イソニトリルによる熱的な三成分カップリング反応を見出した。この反応では中間体との間にいくつかの平衡が存在するが、イミドイル化反応が非可逆的であるため最も安定なカップリングタイが得られたことが示唆された。
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[Publications] Yamago,S.: "New Radical-Mediated Group-Transfer Three Component Coupling of Silyltellurides, Carbonyl Compounds, and Isonitriles"Angew.Chem.Int.Ed.. 39. 3669-3671 (2000)
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[Publications] Yamago,S.: "New Synthesis of α-Acylimines and α-Acylamide by Imidoylation of Acyl Radicals with Isocyanides"Tetrahelron Lett.. 41. 7517-7520 (2000)
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[Publications] Yamago,S.: "Radical-Mediated Synthesis of Substituted Quinones with Organotellurium Compounds"Chem.Lett. 1234-1235 (2000)
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[Publications] Yamago,S: "Highly Efficient and Chemoseledine Redutrin Bo-silylation of Quinones by Silyltellurides"Org.Lett. 2. 3671-3673 (2000)
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[Publications] Yamago,S.: "Synthetic and Theoretical Studies on Group-Transfer Imidoylation of Organo tellurium Compounds. Remarkable Reactivity of Isonitriles in Comparison with"J.Am.Chem.Soc.. (in press).