2000 Fiscal Year Annual Research Report
キラルラクトンの不斉反応における面選択性をきめる因子の解明と新不斉反応の開発
Project/Area Number |
12042265
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安藤 香織 琉球大学, 教育学部, 助教授 (70211018)
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Keywords | キラルラクトン / 不斉アルキル化反応 / 面選択性 / アプイニシオ分子軌道計算 / 反応の遷移状態 |
Research Abstract |
γ-アルコキシメチル-γ-ブチロラクトンはそのエノラートが高いアンチ選択性でアルキル化剤と反応することが知られ、キラルビルディングブロックとして用いられている。この選択性をきめる因子を明らかにするため、γ-メトキシメチル-γ-ブチロラクトン1をモデルとして用い、アプイニシオ分子軌道計算による解析を行った。1から得られるエノラートアニオンの配座解析をRHF/6-31+G*を用いて行ったところ、14個の配座が存在するが、以前論文で予想されたような配座は存在しないことが分かった。得られた14個の配座全てについてアンチ側、シン側からの塩化メチルとの反応の遷移状態を計算した。得られた遷移状態を比較した所、全てアンチ側からの反応がシン側からの反応より有利で、これは一部の立体障害のある場合を除いて全てトーショナルストレインにより説明できることが分かった。また、側鎖上の酸素原子が立体選択性に大きな役割を持つと言われていたが、今回の計算では酸素の役割は見えてこなかった。そこで、1からメトキシメチル基を除いたγ-バレロラクトン2を-78℃でLDA処理後ベンジルブロミドと反応させた所、THF中93%のアンチ選択性が得られ、THE-HMPA中でもアンチ体が88%の選択性で得られた。これは、1において側鎖の酸素原子はアンチ選択性に必要でないことを示している。この2の系についても反応の遷移状態を計算した所、トーショナルストレインが反応の選択性を支配していることがわかった。なお、今回計算で得られたアンチとシンの遷移状態のエネルギー差は、すべて実験で得られる選択性とほぼ等しいものであった。
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