2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12042266
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 健朗 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40202254)
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Keywords | アルカリ金属 / 溶媒和 / 溶媒和電子 / ab initio MP2-MD法 / ダイナミックス |
Research Abstract |
アルカリ金属の溶解と溶媒和電子生成過程を、電子状態理論と分子動力学法に基づき研究した。まずナトリウム原子負イオンの水和クラスター(水和数2)をモデル系とし、負イオンからの電子脱離後のダイナミックスをab initio MP2-MD法で追跡し、それを反映した物性値(励起エネルギーやイオン化ポテンシャル)の時間変化を解析した。昨年度作成したプログラムを初期負イオン状態での運動状態、温度を考慮できるように改良した。負イオンの最安定構造から垂直電子脱離した場合と、負イオンのポテンシャル面上で異性化が起きない程度に内部エネルギーを設定して運動させた後電子脱離したシミュレーションを比較した。いずれもナトリウムから遠い水分子により第一層の水のナトリウムからの解離が妨げられ、電子脱離後、ナトリウムに近い水が水同士の水素結合を軸に数回変角振動し、その後反転してナトリウム-酸素結合が生成、その伸縮振動が始まる。この反転で系の電子状態は原子型からリドベルグ型へ変わりイオン化エネルギーや、励起エネルギーが急低下するので、これらの時間変化を測れば金属溶解初期過程のダイナミックスを観測できると予測される。負イオン状態での運動を考慮することで第一層の水の反転、すなわち急激な電子状態変化が起きるまでに要する時間が約700fsから約1psに長くなることも分った。これは実験による観測には有利だが、通常予測される時間より長く、固有反応座標の解析などによりポテンシャル面の詳細な検討を進めている。またナトリウムとリチウム原子のアンモニアによる溶媒和クラスターの垂直励起エネルギーの溶媒分子数依存性や基底状態の性質を研究し、アンモニア数の4から8へ増加に伴う余剰電子の局在化を定量的に示した。
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[Publications] K.Hashimoto: "Theoretical study of 〔Na(H_2O)_n〕^-(n=1-4) Clusters"J.Phys.Chem.A. 104. 3299-3307 (2000)
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[Publications] K.Hashimoto: "Theoretical study of 〔Na(NH_3)_n〕^-(n=1-4)"J.Chem.Phys.. 113. 9540-9548 (2000)
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[Publications] K.Fuke: "Advances in Metal and Semiconductor Clusters Vol.5"M.Duncun. 37 (2001)