2000 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体反応場における炭素-ケイ素結合形成反応の研究
Project/Area Number |
12042269
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 大阪市立大学, 工学部, 教授 (40134837)
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Keywords | 炭素-ケイ素結合形成 / アルキル(シリル)白金錯体 / 還元的脱離反応 / アルケニルルテニウム錯体 / ヒドロシラン / σ結合メタセシス反応 |
Research Abstract |
(1)cis-PtR(SiPh_3)(PMe_2Ph)_2錯体(R=Me,Et,Pr,Bu)錯体を合成単離し、それらの溶液中における熱分解反応について検討した。その結果、何れの錯体からも炭素-ケイ素結合形成が進行し、アルキルシラン(RSiPh_3)が定量的に得られることが分かった。反応経路は2通り存在し、経路1ではアルキル(シリル)錯体から直接C-Si還元的脱離が、一方、経路2においては白金上のアルキル基とケイ素上のフェニル基とが分子内でまず交換し、これによって生成するcis-PtPh(SiRPh_2)(PMe_2Ph)_2錯体からC-Si還元的脱離が、それぞれ進行することが明らかとなった。2つの反応経路の比率は経路1に対するアルキル(シリル)錯体の反応性に依存する。すなわち、R=Me>Et>Pr>Buの順でこの経路が顕著に遅くなり、その結果として経路2の比率が相対的に高くなることが分かった。 (2)Ru(alkenyl)Cl(CO)(PPh_3)_2錯体とHSiMe_2Phとの反応では、アルケニル基の種類によって炭素-ケイ素形成が優先する場合と、炭素-水素結合形成が優先する場合があることが分かった。詳細な速度論的検討により、前者の反応では5配位のアルケニル錯体にヒドロシランが直接会合するのに対して、後者ではまずホスフィン配位子の解離が起こり、続いて生成した配位不飽和錯体にヒドロシランが反応していることが明らかとなった。また、前者の反応に対して、後周期遷移金属では確証の少ないσ結合メタセシス機構を提案することができた。
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[Publications] 丸山洋一郎: "Mechanisms of C-Si and C-H Bond Formation on the Reactions of Alkenylruthenium (II) Complexes with Hydrosilanes"Organometallics. 19・7. 1308-1318 (2000)
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[Publications] 長谷部功: "Thermolysis Reactions of cis-PtR (SiPh_2)(PMe_2Ph_2) in Solution"Organometallics. 19・10. 2022-2030 (2000)
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[Publications] 小澤文幸: "The Chemistry of Organo (silyl) platinum (II) Complexes Relevant to Catalysis"J.Organomet.Chem.. 611・1/2. 332-342 (2000)
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[Publications] 丸山洋一郎: "Hydrosilylation of 1,4-Bis (trimethylsilyl)-1-buten-3-ynes Using Late Transition Metal Hydrides as Catalyst Precursors"J.Organomet.Chem.. 609・1. 130-136 (2000)