2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12042287
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川合 真紀 理化学研究所, 表面化学研究室, 主任研究員 (70177640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 寛人 理化学研究所, 表面化学研究室, 研究員 (50270591)
南任 真史 理化学研究所, 表面化学研究室, 研究員 (90300889)
米田 忠弘 理化学研究所, 表面化学研究室, 先任研究員 (30312234)
加藤 浩之 理化学研究所, 表面化学研究室, 研究員 (80300862)
|
Keywords | 金属表面 / 吸着 / 分子間相互作用 / 拡散 / 表面振動分光 / 非弾性トンネル分光 |
Research Abstract |
吸着分子の構造を支配する因子は大別すると、吸着分子と基板間の相互作用、吸着分子間の相互作用、そして基板原子の変位などにより誘起される状態によるものが挙げられる。固体表面に吸着している分子は基板となる表面の吸着サイトにより、その吸着状態が異なる。全系の吸着エネルギーに最も大きく寄与するのは、吸着分子と基板間の相互作用なので、自由空間に配置された分子に比べ、取り得る分子間距離が制限される。前年度までは、全系の安定性に寄与するこれら相互作用の本質を理解する目的で、高分解能電子エネルギー損失分光を用いて振動状態を精密に調べ、観測された分散関係の定量的に解析することにより吸着分子間の相互作用を支配する因子を明らかにしてきた。平成12年度は単一分子をターゲットに、非弾性トンネル現象による吸着分子の振動分光や、走査トンネル顕微鏡の探針との間での局所的な電子の授受により誘起される吸着分子の運動・反応の観測を目指した。その結果、Pd(110)表面に吸着した一酸化炭素(CO)、エチレン(C_2H_4)、ブタジエン、ブテンなどで単一分子の振動スペクトルを観測することができた。また、試料と探針間の電圧が数百mVの領域になると、吸着分子がその吸着サイトを移動するが、この現象には臨界電位が観測され、吸着分子内の振動励起が関わっていることが同位体を用いた実験などから明らかになった。現在、非弾性トンネル電子によりどのような過程を経て、吸着分子の吸着面内運動へと変化していくのかを考察中である。ここでは分子内振動の励起とその励起状態の緩和過程が重要なプロセスであり、これまでに知られている吸着分子のダイナミクスとの関連を探っている。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Okuyama,S.Ichihara: "Orientation and symmetry of ethylene on Pd(110) : a combined HREELS and NEXAFS study"J.Chem.Phys.. 112. 5948-5956 (2000)
-
[Publications] H.Ogasawara,N.Horimoto M.Kawai: "Ammonia adsorption by hydrogne bond on ice and its solvation"J.Chem.Phys.. 112. 8229-8232 (2000)
-
[Publications] H.Okuyama,H.Kato M.Kawai: "An electron energy loss spectroscopy study of resonance population in ethylene chemisorbed on Pd (110)"J.Chem.Phys.. 113. 2866-2872 (2000)
-
[Publications] M.Kawai,H.Koto: "Interaction between adsorbed molecules on metal surfaces"Surface Review Lett.. 7. 619-624 (2000)