2000 Fiscal Year Annual Research Report
変形菌の生活環における二次代謝産物のはたらきに関する基礎研究
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12045212
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 薬学部, 教授 (90212927)
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Keywords | 変形菌 / 培養 / 二次代謝産物 / 生活環 / 発芽 / 変形体 / 子実体 / 色素成分 |
Research Abstract |
変形菌の採取と発芽実験:1998-2000年に国内で採取した変形菌(67種191株)について、胞子の発芽実験を行ったところ、18株に発芽が溶菌斑(粘菌アメーバ)として観測され、さらに13株でオートミール添加寒天平板培地上で変形体の形成を確認した。また8株で胞子形成、さらに2株で子実体の形成に成功した。これら2株(Didymium squamulosumおよびDidymium bahiense var.bahiense)に関しては実験室内での生活環の再現が可能となった。 Didymium squamulosumの培養と成分:培養可能となったD.squmulosumについて、オートミールを添加した寒天平板培地上での大量培養及び変形体の成分研究を行い、主成分としてclionasterolを単離した。 Didymium bahiense var.bahienseの培養と成分:もう一つの菌株D.bahiense var.bahienseについても、大量培養ならびに変形体の成分研究を行い、色素成分makaluvamine Aを分離した。これは、以前海綿Zyzzya cf.marsailisより分離されていたものであったが、陸棲生物から分離されたことは初めてであったため、化学系統分類学的にも興味がもたれる。 Didymium bahiense var.bahienseの生活環と二次代謝産物との関係:菌株D.bahiense var.bahienseは平板培地上で子実体を形成したため、この子実体を収穫し抽出物についてTLC他による成分分析を行った。その結果、この子実体には変形体ステージにおける主成分であったmakaluvamine Aは含まれていないことが分かった。従って、生活環の推移によって含有二次代謝産物が変化することが明らかとなった。また本菌については、1〜2週間で平板培地上で生活環を再現性よく一巡させる実験系が確立できたため、今後、二次代謝産物の添加実験を行い、生活環進行に及ぼす影響を調べていく予定である。
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[Publications] Masami Ishibashi: "Laboratory Culture of the Myxomycetes : Formation of Fruiting Bodies of Didymium bahiense and its Plasmodial Production of Makaluvamine A"Journal of Natural Products. 64・1. 108-110 (2001)
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[Publications] 多田全宏: "天然生理活性物質の化学"宣協社. 182 (2000)
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[Publications] 貫名学: "ライフサイエンス系の基礎有機化学"三共出版. 195 (2000)