2000 Fiscal Year Annual Research Report
短寿命励起鍵分子の蛍光発光原理解明と生細胞蛍光プローブへの応用
Project/Area Number |
12045218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 和也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (70292951)
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Keywords | 低分子プローブ / 蛍光共鳴エネルギー移動 / グリーン蛍光タンパク質 / 酵素反応 / 非会合性色素 / リンカー / シクロデキストリン / フォスフォジエステラーゼ |
Research Abstract |
【研究目的】本研究は短寿命励起鍵物質の蛍光発光原理の解明を行い,分光的性質の理論に基づき効率性と選択性の高い低分子プローブをデザイン・合成することを目的とする.蛍光発光理論としてはFRET(蛍光共鳴エネルギー移動,Fluorescence Resonance Energy Transfer)を用い,酵素反応によって蛍光特性の変化する基質をデザイン・合成する.生物発光においてルシフェラーゼ等の発光タンパクは,低分子由来の発光エネルギーをグリーン蛍光タンパク質(GFP)に効率よく移動させることが知られている.また,GFPを2分子組み込んだフュージョンタンパク質では,効率的にFRETが起こることが報告されている.しかし,FRETの小分子への応用を試みた場合,基本的に色素同士の会合により蛍光消光を起こし使用できない.生物発光の場合,構造解析の知見よりGFPでは缶型のタンパク中に色素が包み込まれており,色素は会合せずFRETが起こると考えられる.この例をならい,本研究では非会合性色素をデザイン・合成し,広く応用できる蛍光性機能分子の開発を行う. 【研究成果】FRETとはドナー化合物(化合物A)とアクセプター化合物(化合物B)が化学結合により近い位置(通常50-100Å以内)にある場合,化合物Aを励起したにもかかわらず化合物Bからの蛍光が観測される現象である.これは励起状態のdipole moment相互作用に基づくenergy transfer現象で,化学結合が切断され,両化合物が離れた場合には化合物A自身の蛍光に変化することになる.すなわちこの原理では,化合物Aと化合物Bの間のリンカーを切断することで蛍光波長が変化することになる.しかし,リンカーを自由回転できる化合物(例えばペプチド等)にした場合,クーロン力によって色素同士が会合し,蛍光の消光を起こす.その結果,この原理を実用的な蛍光分子創製には用いることはできなかった.この問題を非会合型の色素をデザイン・合成することで解決した.具体的には,GFPの構造を参考にシクロデキストリン等の包接化合物で蛍光団を取り囲むことで会合を防ぐことに成功した.また,アダマンタンやシクロヘキサン等の嵩高い保護基をつけることにより会合を防ぎ,加水分解酵素であるフォスフォジエステラーゼによって切断される基質の合成に成功した.
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[Publications] T.Hirano,K.Kikuchi,Y.Urano,T.Higuchi & T.Nagano: "Highly Zinc-Selective Fluorescent Sensor Molecules Suitable for Biological Applications."J.Am.Chem.Soc.. 122. 12399-12400 (2000)
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[Publications] Y.Kawanishi,K.Kikuchi,H.Takakusa,S.Mizukami,Y.Urano,T Higuchi & T.Nagano: "Design and Synthesis of Intramolecular Resonance Energy Transfer Probes for Use in Ratiometric Me asurements in Aqueous Solution."Angew.Chem.Int.Ed.. 39. 3438-3440 (2000)
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[Publications] M.Koresawa,K.Kikuchi,S.Mizukami,H.Kojima,Y.Urano,T.Higuchi & T.Nagano: "Development of Time-resolved Fluorometric Detection System Using Diffusion-enhanced Energy Transfer."Anal.Chem.. 72. 4904-4907 (2000)
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[Publications] T.Hirano,K.Kikuchi,Y.Urano,T.Higuchi & T.Nagano: "Novel Zinc Fluorescent Probes Excitable with Visible Light for Biological Applications."Angew.Chem.Int.Ed.. 39. 1052-1054 (2000)
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[Publications] H.Kojima,M.Hirotani,Y.Urano,K.Kikuchi,T.Higuchi & T.Nagano: "Fluorescent Indicators for Nitric Oxide Based on Rhodamine Chromophore."Tetrahedron Lett.. 41. 69-72 (2000)
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[Publications] M.Kakoki,Y.Hirata,H.Hayakawa,E.Suzuki,D.Nagata,A.Tojo,H.Nishimatsu,K.Kikuchi,T.Nagano & M.Omata: "Effects of Tetrahydrobiopterin on Endothelial Dysfunction in Rats with Ischemic Acute Renal Failure."J.Am.Soc.Nephrol.. 11. 301-309 (2000)