2000 Fiscal Year Annual Research Report
キノコの生長及び生体調節機能発現に関わる鍵物質の探索と作用機序
Project/Area Number |
12045232
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河岸 洋和 静岡大学, 農学部, 教授 (70183283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 健臣 静岡大学, 農学部, 助手 (30273171)
徳山 真治 静岡大学, 農学部, 助教授 (60283347)
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Keywords | キノコ / 生体調節機能 |
Research Abstract |
キノコが関わる生物現象鍵物質に関して2つのカテゴリーに分けられる研究を目指した. 1)キノコ自身の生命現象(生長)に関わる鍵物質 1-1)脂肪酸生合成を司る鍵物質 キノコから脂肪酸生合成を司る物質の構造決定,実際に脂肪酸生合成及ぼす影響を明らかにしていく目的で実験を行った.その結果,シイタケから合成促進物質の部分精製に成功した.また,このキノコからクロマトグラフィーを駆使して脂肪酸合成酵素を精製した. 1-2)子実体形成を司る鍵物質 キノコ自身が産生する子実体形成物質の単離を目指してバイオアッセイ系の確立を試みている. 2)キノコがもつ生体調節機能に関わる鍵物質 2-1)肝障害抑制物質 多数のキノコ凍結乾燥物をラットに与え,その後に人工的に肝障害を惹起する実験を行った.その結果,コントロール(肝障害ラット)群はGOT,GPTが大きく上昇したのに対して,シイタケ,マイタケ,エノキタケ投与群は,GOT,GPTの上昇が認められなかった.これらのキノコからの活性物質の精製,構造決定,作用機構の解明を目的とした.その結果,シイタケとマイタケの水溶性低分子画分に強い活性が存在することを見いだした. 2-2)摂食抑制物質 ヒラタケには摂食抑制作用があることを発見し,この活性物質の精製に成功した.この物質はレクチン活性を示し,1次構造の決定を試みた.POLをトリプシンなどのプロテアーゼで消化し,得られたペプチドをHPLCで精製した.精製されたペプチドのアミノ酸配列をペプチドシークエンサーに供して決定し,ほぼ80%の配列が決定された.また,POL遺伝子のクローニングを試みている 2-3)NGF合成促進物質 ヤマブシタケから強力なNGF(神経成長因子)合成促進物質を単離しており,様々な観点からの動物実験を試みている.一方,このキノコから新規活性物質エリナシンHとIを得た.
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[Publications] H.Kawagishi ら: "A lectin from an edible mushroom Pleurotus ostreatus as a food intake-suppressing substance"Biochim,Biophys.Acta. 1474. 299-308 (2000)
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[Publications] E.W.Lee ら: "Two novel diterpenoids, erinacine Hard I from the mycelia of Hericium erinuceum"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64・11. 2402-2405 (2000)