2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモン活性化/不活性化機構の分子基盤-ブラシノステロイド生合成/代謝酵素による制御-
Project/Area Number |
12045238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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Keywords | ブラシノステロイド / チトクロムP450 / 植物ホルモン / バキュロウイルス / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
ブラシノステロイド(BR)生合成・代謝経路には多数のチトクロムP450酵素が関与している。本研究では、BR活性化/不活性化に関与するP450酵素を単離同定し、その発現制御機構を解析することによりBR分子の作用部位における経時的消長を遺伝子、酵素レベルで解析しBRの生理機能の分子基盤を解明することを目的とする。 A.cDNAクローニング:相同性検索によりBR生合成・代謝に関与する可能性の高いと推定された候補P450遺伝子をシロイヌナズナおよびトマトからクローニングした。シロイヌナズナから14クローン、トマトから8クローンの全長cDNAを単離した。 B.BR応答性の検討:シロイヌナズナおよびトマトを用いて、BR処理、BR生合成阻害剤処理による各遺伝子の転写変動を検討した。BR添加によりCYP90、CYP708ファミリーに属する各遺伝子は発現が抑制され、逆に阻害剤により発現が増加したことから、これらの遺伝子はBR生合成に関与していることが示唆された。またトマトCYP72B2はBR処理により発現が増加しBR代謝に関わっている可能性が示唆された。 C.組み替え酵素の発現:候補P450の組み替え酵素を発現させるための予備検討を大腸菌を用いて行った結果、一部の分子種は大量に発現するものの発現しない分子種も多く、またN末領域のアミノ酸配列を改変する必要があるため発現ベクターの構築にも多大な労力を要することが予想された。そこで、より安定して多量のP450を発現することが可能で、かつ全長cDNAをそのまま組み込むことができるバキュロウイルスー昆虫細胞発現系を用いて上記候補P450の発現を行うこととした。pFastBacl発現ベクターに各P450の全長cDNAを組み込み昆虫細胞を用いて発現させた結果、全てのP450について発現タンパク質由来のバンドをSDS-PAGE上で確認することができた。そこで培地にヘムの前駆物質を加えて昆虫細胞を培養しウイルス感染を行ったところ、ほとんどのP450について活性型酵素を検出した。
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