2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12045248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深澤 義正 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50004502)
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Keywords | NMR化学シフト / 磁気異方性効果 / エーテル / ナフタレン / 分子力学計算 |
Research Abstract |
NMRの最も基本的なデータである化学シフトは立体化学の議論や配座解析に用いられることは少ない。しかし、化学シフト値にも分子の三次元情報は豊富に含まれており、立体化学の議論や立体配座解析にこれを利用し得るはずである。そこで本研究ではそれを用いてフレキシブルな化合物の動的な配座平衡の解析をおこなった。 一般に複数の立体配座が速い動的な平衡にある場合の化学シフト値は、多数の配座の過重平均として観測される。ここではフレキシブルな化合物の一例として芳香環を架橋鎖で連結したシクロファンの解析を行った。特に架橋鎖にエーテル基をもつ1,4,11,14-テトラオキサ[4.4]メタシクロファンは結合定数やNOEからの情報が得られないことと、鏡像体への環反転があることから従来法ではまったく解析出来なかった。しかし芳香環の環電流と架橋鎖のエーテル基による誘起シフトの計算と分子力学計算法を併用してこの化合物の溶液中における安定配座を決定することに成功した。続いて縮合多環芳香族化合物における芳香環の環電流による磁気異方性効果を求めるため、溶液中でも構造が変化しない堅固な骨格をもつステロイド化合物にナフタレンを二つ縮合した7,8-ジヒドロジベンゾフェナントレン骨格をエチレンケタールで結合した化合物を合成し、それらの化学シフトと対照化合物のそれの比較からナフタレン環の磁気異方性効果を求めることに成功した。このようにして求めた、ナフタレン環の磁気異方性効果からナフタレン環の環電流はベンゼン環のそれを単純に二つ加算することにより再現することができることを明らかにすることができた。
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[Publications] Y.Fukazawa: "Layered donor-acceptor-acceptor arrangement in complex of molecular tweezers based on dioxa[2.2]orthocyclophane,"Tetrahedron Letters. 41・4. 477-480 (2000)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Thermodynamic study on supramolecular complex formation of fullerene with calix[5]arenes in organic solvents"Tetrahedron Letters. 41・4. 493-497 (2000)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Flexible Molecular Tweezers Based on a Dioxa[2.2]orthocyclophane Linked with Weak Electron Acceptor"Tetrahedron Letters. 41・21. 4139-4142 (2000)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Conformational analysis by chemical shift simulation : structure of 1,4,11,14-tetraoxa[4.4]metacyclophane"Tetrahedron Letters. 42・1. 49-51 (2001)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Intramolecular Complex Formation Between Flexible Molecular Tweezers and Weak Electron Acceptor"Heterocycles. 51・1. 849-864 (2001)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Estimation of Magnetic Anisotropy in-Polycyclic Aromatics"Tetrahedron Letters. 42・8. 1551-1553 (2001)