2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12045257
|
Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 青森大学, 学長 (00016114)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 隆行 東海大学, 海洋学部, 助教授 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20169436)
|
Keywords | サケ / 母川回帰 / アミノ酸 / Y字水路 / ヒメマス / シロザケ / 母川物質 / 洞爺湖 |
Research Abstract |
昨年まで我々は河川水の組成分析と電気生理学的実験、および予備的な行動実験を行い、アミノ酸が有力な母川物質候補であることを示唆する結果を得た。本年度は、遡上期間(約3週間)全体を通して有効に実験を行なうとともに、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター洞爺臨湖実験所に回帰するヒメマス(洞爺湖回帰ヒメマス)および支笏湖回帰ヒメマスに加えて、洞爺湖近郊の川(長流川・伊達市)に遡上するシロザケ親魚も用いて実験を行なうこととした。これらは全て、稚魚放流された地点に正確に戻ってきた魚である。 選択行動実験には、屋外に設置したY字水路と観察装置を用いた。遡上した8尾のうち7尾までがアミノ酸で再現された人工母川水を正確に選択した。さらに、支笏湖回帰ヒメマス(雌15尾)を用いて同様の実験を行なったところ、上記のような正確な選択性は全く見られず、しかも洞爺湖回帰魚では見られなかったアーム部とプール部を行き来する行動が多く見られた。このことは、同じように成熟した回帰魚でも、自分にとっての母川の匂いとは異なるアミノ酸組成に対しては全く選択性を持たないことを示す。 長流川(おさるがわ)に遡上してきたシロザケ親魚(雄)を洞爺湖の実験所に運んで、Y字水路の選択実験を行った。この実験で用いた人工母川水は、遡上河川であるのアミノ酸組成を再現したものである。シロザケは、28尾中24尾が正確に母川側のアームに遡上した。残りのうち4尾はコントロール水側へ遡上した。これらの結果も、ヒメマスの結果と同様、アミノ酸が母川物質であることを強く示唆した。
|
Research Products
(1 results)