2001 Fiscal Year Annual Research Report
新奇青色光センサー分子(光活性化アデニル酸シクラーゼ)の構造と機能の研究
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12045265
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
渡辺 正勝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40124226)
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Keywords | 青色光 / フラビン / ミドリムシ / 光センサー分子 / アデニル酸シクラーゼ / 光運動反応 / サイクリックAMP / PAC |
Research Abstract |
青色光は細胞の運動や様々な生物の遺伝子発現等に大きな影響を及ぼす。その光センサー分子は作用スペクトルからフラビンタンパク質であることが推定されながらも、多くの生物で未同定であった。我々は単細胞鞭毛藻ミドリムシ(Euglena gracilis)において青色光受容部位が細胞内に1個だけ存在する顆粒である事に着目し、その効率良い単離から始めて、全く新しい光センサー分子を発見し下記(1)-(4)の新知見を得た:(1)得られた光受容顆粒を溶解し,液体クロマトグラフィーで精製し,分子量約40万のフラビンタンパク質を得た.蛍光スペクトルや薄層クロマトグラフィーにより、このタンパク質はFADを含有することが示された.(2)この分子量約40万のフラビンタンパク質は,分子量約10.5万と約9万の2種類のサブユニットから成るヘテロ四量体であると推定された.これらのサブユニットをコードするcDNAの塩基配列からアミノ酸配列を推定したところ,それらは互いによく似ており,フラビン結合領域とアデニル酸シクラーゼ触媒領域がそれぞれ交互に2箇所ずつ存在していた.(3)実際、このフラビンタンパク質はATPを基質としてcAMPを産生するアデニル酸シクラーゼ活性を示し,青色光照射でこの活性は数十倍増大したので,光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC:Photoactivated Adenylyl Cyclase)と名付け,構成サブユニットをPACα,PACβと名付けた.(4)RNAiの手法を用いてミドリムシ細胞におけるPACの発現を抑えると,光受容顆粒が消失し,光回避反応を全く示さなくなった.一方,光集合反応は正常であったことから,PACはミドリムシの光回避反応の光センサーとして機能していることが証明された。(5)将来的にはcAMPなど環状ヌクレオチドの関与する様々な生体機能,例えば軸索ガイダンスや記憶,発生分化等を光でスイッチングする,「細胞機能光スイッチ」としての応用も期待される.
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Research Products
(1 results)