2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12046202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70029560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 裕次 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50280863)
河本 充司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60251691)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 高温超伝導 / 強相関電子系 / 渦系状態 |
Research Abstract |
従来、渦糸状態でのNMR緩和時間は常伝導渦糸コアからのスピン拡散の効果として説明されてきた。しかし、高温超伝導体のような異方的d-波超伝導体では、渦糸コアの電子状態密度は従来のBCS型s-波超伝導体とは大きく異なると考えられる。そこで、site-selectiveなNMRによる新しい観点からの渦糸コアの準粒子状態に関する研究をおこなった。 YBa_2Cu_3O_7とYBa_2Cu_4O_8の^<17>O-NMR、およびT1_2Ba_2CuO_6(T_c=80K)の^<205>T1-NMRを測定した。磁束格子を組むT_<melt>より低温では核緩和率、1/T_1に大きな周波数(空間)依存性が観測された。磁場分布の鞍点(超伝導領域)で核緩和率は最も抑えられており、低周波側(4角格子を組む磁束を結ぶ方向)と、鞍点から高周波(磁束コア)に向かうにつれ1/T_1は増大する。磁束コアに近づくにつれ増加する1/T_1は、磁束の周りの超伝導電流による準粒子エネルギーのDoppler shiftよる局所的な状態密度の増加で説明できる。磁束間方向での1/T_1の増加は、Doppler shiftよる局所的な状態密度の増加だけでは説明できず、磁束を結ぶ4回対称方向での準粒子状態密度の増加による可能性がある。 渦糸コア領域内では1/T_1は減少する。このことは磁束コア内での準粒子状態密度の減少を示している。一方、Cuスピンによる反強磁性揺らぎを感ずるT1サイトでは1/T_1は大きく増大する。また、渦糸コア近傍でのT1サイトでは緩和回復曲線が大きく分布している。これらの実験結果は、局所的な反強磁性磁気モーメントの揺らぎが渦糸コア内で増大していることを示している。 FT-NMRによる空間的にspatially-resolve-NMRの研究は、酸化物超伝導体における渦糸コアの準粒子状態密度や反強磁性揺らぎの局所的空間分布を分離して捉えることが可能であり、異方的超伝導体において空間分布する局所的な準粒子状態の研究に有効であることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Kumagai: "Charged Vortices in High Temperature Superconductors Probed by NMR"Phys. Rev. B. 63. 144502-1-144502-5 (2001)
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[Publications] K.Kumagai: "Charge and spin state of Ru and Cu in magnetic superconductor RuSr_2GdCu_2O_8 studied by NMR"Phys. Rev. B. 63. 180509-1-180509-4 (2001)
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[Publications] K.Kumagai: "NMR Study on coexistence of magnetic order and superconductivity in RuSr_2GdCu_2O_8"Hyperfine Interactions. 133. 151-156 (2001)
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[Publications] K.Kakuyanagi: "Quasiparticle excitation in and around the vortex core of underdoped YBa_2Cu_4O_8 studied by site selecttive NMR"Phys. Rev. B. 65. 060503-1-060503-4 (2002)