2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12046205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 禎通 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60005973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 健二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80291011)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / モット・ギャップ / X線共鳴散乱 / 光電子分光 / 電子励起 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スピン・電荷・軌道の自由度によって遷移金属酸化物に現れる特有の秩序状態及びその励起を理論的に導くこと、そして、それらの観測理論を確立することである。 平成14年度は、電子の内部自由度がもたらす素励起の性質と相互作用を集中的に研究した。 プリンストン大学とブルックヘブン研究所では、一次元Cu酸化物の共鳴非弾性X線散乱実験が行われた。これらの研究グループとの共同研究において、Cu酸化物の素励起の性質を数値的厳密対角化法により解析した。これにより、一次元と二次元の電子励起が本質的に違うことが明らかになった。これは一次元においては、スピンと電荷の分離が起こっているが、二次元ではスピンと電荷が強く相互作用していることによる。 特に、放射光を用いた共鳴非弾性X線散乱(RIXS)における観測理論の構築を行い、銅酸化物における電子励起を明らかにした。 また、強相関電子系においては、結晶構造も本質的に重要である。角共有型一次元銅酸化物(SrCuO_3,SrCuO_2)では、電荷の大きな分散が観測されるが、稜共有型一次元銅酸化物(CuGeO_3,LiCuO_2)では電荷の分散がほとんど観測されない。一次元銅酸化物のRIXSの解析を詳しく行った。これにより銅イオンと酸素イオンの結合角が電荷のダイナミクスを決定していることを明らかにした。このことは非線型光学素子材料としての銅酸化物の物質設計の指針を与えている。
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[Publications] K.Kikuchi: "Conductance quantization and Andreev reflection in narrow ferromagnet/superconductor point contacts"Phys.Rev. B. 65, No.2. 020508(R) (2002)
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[Publications] S.E.Barnes: "A Jordan-Wigner Transformation for the t-J and Hubbard Models with Holes"J.Phys. : Condens.Matter. 14, No.1. L19-L28 (2002)
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[Publications] T.Yamashita: "Spin Transport and Relaxation in Superconductors"Phys.Rev. B. 65. 172509(4) (2002)
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[Publications] J.Martinek: "Spin accumulation and cotunneling effects in ferromagnetic single-electron transistors"J.Mag.Mag.Mat. 240, No.1-3. 143-145 (2002)
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[Publications] S.Maekawa: "Spin Injection into Superconductors"J.Phys. D : Appl.Phys.. 35, No 19. 2452-2456 (2002)
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[Publications] S.Maekawa: "Spin Dependent Transport in Magnetic Nanostructures"Taylor and Francis Publisher, London and New York. 282 (2002)