2001 Fiscal Year Annual Research Report
多バンド強相関電子系におけるスピン揺らぎと超伝導の理論的研究
Project/Area Number |
12046226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80332592)
黒木 和彦 電気通信大学, 量子物質工学科, 助教授 (10242091)
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Keywords | スピン揺らぎ / Fermi面 / triplet超伝導 / FLEX近似 / 強磁性ゆらぎ / Sr_2RuO_4 / (TMTSF)_2X |
Research Abstract |
前年度までに、格子構造と超伝導の相関について考察し、どのような格子構造、電子密度において超伝導状態が実現し得るのかを明らかにしてきた。特に、強磁性揺らぎを媒介とする常磁性相におけるtriplet超伝導に関しては、自己エネルギー補正の大きさに比べて、強磁性揺らぎ由来の電子間引力が小さいために、反強磁性揺らぎを媒介とした$d$波の対称性を持つsinglet超伝導と比較すると、一般に非常に不利であることを指摘した。 このような状況のもとで、triplet超伝導の実現の可能性を探るために、以下のように、様々な可能性を探った。まず、一般に、超伝導のギャップ関数のノードが、フェルミ面と交差しないような状況のもとでは、超伝導転移温度が高くなることが期待されるが、実際にこの考えが2次元三角格子や、蜂の巣格子で適用でき、適切な条件のもとではtriplet超伝導が実現しえることを示した。次いで、OgataらやKohmotoらが提案した、スピン揺らぎに異方性がある場合の、反強磁性揺らぎを媒介とするp-wave超伝導の実現の可能性をFLFX計算によってSr2RuO4と関連けながら議論した。そこで得られたギャップ関数の特異な形は、未だに整理されつくされていないSr2RuO4の諸実験をconsistentに説明し得るものである。更に、擬一次元有機超伝導体TMTSFを念頭において、スピン揺らぎの異方性に加え、電荷揺らぎも強い場合にf-wave超伝導か実現される可能性を指摘した。また、電荷揺らぎの強さ、あるいはスピン揺らぎの異方性の強さの関数として、最も有利な超伝導対称性は何かについての相図を得た。 Singlet超伝導に関しても同様の考察を行い、Fermi面が複数のポケット状の閉じた曲面をなしている場合には、適切な条件下で、きわめて高い転移温度を持つ可能性があることを指摘した。
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[Publications] K.Kuroki, R.Arita: "Spin-triplet superconductivity in repulsive Hubbard models with disconnected Fermi Surface"Physical Review B. 63. 174507-174511 (2001)
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[Publications] K.Kuroki, M.Ogata, R.Arita, H.Aoki: "Crib-Shaped triplet-pairing gap function for an orthogonal pair of guasi-one dimensional Fermi Surfaces in Sr_2RuO_4"Physical Review B. 63. 060506-060509 (2001)
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[Publications] K.Kuroki, R.Arita, H.Aoki: "Spin triplet f-wave-like pairing proposed for an organic, super conductor (TMTSF)_2PF_6"Physical Review B. 63. 094509-094513 (2001)
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[Publications] K.Kuroki, R.Arita: "Possible high-T_c super conductivity mediated by antiferromagnetic Spin fluctuations in systems with Fermi Surface pickets"Physical Review B. 64. 024501-024505 (2001)