2000 Fiscal Year Annual Research Report
電荷秩序相の2-1-4型遷移金属酸化物磁性体のスピンダイナミクスの研究
Project/Area Number |
12046228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 健次 東京大学, 物性研究所, 助手 (10272535)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 電荷秩序 / ホールドープ / 酸素ドープ / コバルト / マンガン / 中性子散乱 |
Research Abstract |
研究初年度である12年度においては、試料調整用のガス雰囲気制御アニール炉の整備、そして、中性子散乱実験については、La_<0.6>Sr_<1.4>MnO_4の電荷秩序等に伴う結晶構造、時期構造の長周期構造の追跡、さらに、磁気励起の予備的調査を行い、La_2CoO_<4.24>の磁気構造を調べる実験を行った。 La_<1-x>Sr_<1+x>MnO_4に関しては、x=0.4の試料について実験を始め、電荷秩序に関してx=0.4の領域ではこれまでの抵抗測定等では確認されていなかったものが、中性子散乱により電荷秩序に伴うと思われる結晶構造の長周期構造を確認することができた。電荷秩序相は、これまでの報告よりも広い領域に存在することが示唆される。観測された磁気構造等はx=0.5のものとほぼ一致する。他のMn系酸化物でも見られるような相分離状態がこの系でも実現しているのではないかと思われる。また、スピン波励起の予備的測定も行い、次年度以降の詳細な研究の準備を開始した。 Co系に関しては、酸素ドープ系によるハーフドープ近傍のLa_2CoO_<4.24>について、研究を進めた。最近、Srドープによるハーフドープ、La_<1.5>Sr_<0.5>CoO_4についての中性子散乱実験の報告が別なグループからなされているが、彼らの結果が、電荷秩序、磁気相関が、極めて短距離、特に二次元面間の相関が弱いことを伺わせるのに対し、我々の酸素ドープ系の結果では、相関距離は極めて長い。過剰酸素の秩序化がこの相関距離、特に、二次元面間の相関に強く関わっていることが、Ni系での同様の振る舞いの類推から、伺われる。また、Srドープ系での報告では、系内のCo^<2+>、Co^<3+>のうちCo^<3+>は非磁性としているが、我々の実験ではこれと矛盾する結果を与えている。その点を今後追求する必要があるが、Srドープ系での磁気反射、長周期構造の反射が、相関距離の短さに対応して微弱なのに対し、酸素ドープ系では十分な観測強度を持つので、より信頼できる結果が得られると期待される。。 La_2NiO_4のストライプ相に関しては、その磁気励起の測定を13年度から行うべく、試料作製・調整の準備を開始した。
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