2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12046231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 章 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40251607)
佐藤 博彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90262261)
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Keywords | 有機磁性伝導体 / π-d相互作用 / 分子磁性体 / 強磁性 / 電荷移動錯体 / 金属性有機物 / TTF錯体 / 低次元電子系 |
Research Abstract |
有機伝導体はπ電子系からなる多様な電子相をもつ系であり、ここに局在不対電子を有するd電子系を導入することにより、π-d相互作用に基づいた磁性・伝導共存系などの新規物質系の開拓が期待される。本年度は、このような観点に立って、3つのテーマについて研究を行い、以下の結果を得た。〔1〕(DMET)_2FeBr_4、及び(EDTDM)_2MBr_4は伝導を担う有機π電子層とアニオンの局在Feスピン層の交互積層からなる同形物質であり、π電子層は1D電子系、局在スピン層は2D正方格子を形成する。(DMET)_2FeBr_4の15Tまでの面内及び面間磁気抵抗の測定を行った。面内磁気抵抗はT_N以下において、大きな負の磁気抵抗を示し、磁化容易軸方向ではスピンフロップ磁場で異常が観測された。また、面間の輸送現象では、容易軸方向でのスピンフロップに伴なう異常の他、困難軸方向では、もう一つの異常が観測された。同型物質(EDTDM)_2FeBr_4では、50Kで金属-絶縁体転移を起こすことが見出された。また、この系のFeスピンは3Kで反強磁性転移をすることが明らかとなった。T_<MI>以下の温度で、磁化率に異方性が発現することが明らかとなった。T_N以下での磁化はスピンフロップ磁場以上でも大きな異方性が見出された。(DMET)_2FeBr_4、(EDTDM)_2FeBr_4でのこのような特異な挙動は伝導π電子とFeの局在スピンの間に大きな相互作用が存在することに起因する。(2)(DIEDO)_2M(mnt)_2(M=Ni,Pt)はDIEDOとM(mnt)_2の1D鎖からなる物質であり、DIEDO鎖は90K付近で金属-絶縁体転移を起こす。M(mnt)_2は局在スピンを持ち、1D強磁性系となることが見出された。これらの物質は強磁性相互作用を有するはじめての金属性有機物である。(3)EDO-TTFBr_2のCl、Br、I錯体新物質を作成した。Cl、Br錯体はそれぞれ2D、1D金属であることが見出された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hirohiko Sato,Toshiaki Enoki,Masahiko Isobe,Yutaka Ueda: "Transport Properties and Magnetism of a Helically Hund-Coupled Conductor : β-MnO_2"Phys.Rev.. B61(5). 3563-3569 (2000)
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[Publications] J.Nishijo,A.Miyazaki,T.Enoki,E.Ogura,T.Takano,Y.Kuwatani,M.Iyoda,J.Yamaura: "Molecular Metals with Ferromagnetic Interaction"Solid State Commun.. 116. 661-664 (2000)
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[Publications] Masaya Enomoto,Akira Miyazaki,Toshiaki Enoki: "Magnetic Properties of Mixed Triangle-Based Ladder Magnets (C_1TET-TTF)(FeBr_4)_<1-x>(FeCl_4)_x"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 74(3)(In press). (2001)
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[Publications] 榎敏明,加藤礼三: "Molecular Magnetism"Gordon and Breach Science Publishers. 189-206 (2000)