2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12047204
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
柳田 昭平 茨城大学, 理学部, 教授 (40013429)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 敏夫 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30134662)
|
Keywords | 宇宙線 / 太陽変調 / 確率微分方程式 |
Research Abstract |
太陽風内の衝撃波加速効果をも考慮した、太陽圏内での銀河宇宙線伝播過程を記述するFokker-Planck方程式(FPE)を、それに等価な確率微分方程式(SDE)におきかえ数値実験を行う3次元コードの開発に成功し、結果は川口淳君の修士論文(茨城大学理工学研究科平成13年度)としてまとめられた。この過程で、SDEによる宇宙線伝播の数値実験の思わぬ方向への展開があることに気ずいた.銀河宇宙線のエネルギースペクトルは、エネルギーの冪関数で近似されるが、〜10^<15>eV以下とそれ以上ではその幕指数が〜2.7から〜3.0へと変化する折れ曲がりがあることが知られている。この折れ曲がりは、kneeと呼ばれ、kneeを境にして、宇宙線の化学組成が変化することも強く示唆されているが、その起源についての定説はない。一方、最近のX線による銀河団の観測から、銀河の外に低エネルギーの宇宙線が存在することが知られてきている。これらの粒子の起源は、まだ解明されていないが、そのエネルギースペクトルが>>10^<15>eVの高エネルギー領域までのびていれば、それらの高エネルギー成分は、太陽系内でも直接観測され、それがknee以上の成分であり、超新星に起源を持つknee以下の成分と起源が異なるために、kneeが存在すると考えられる。我が銀河周辺に存在するこれらの仮想宇宙線の銀河風の影響下の伝播をSDEを用いて解き、〜10^<15>eVに折れ曲がりが現れることが示された。結果は第27回宇宙線国際会議のプロシーディングの論文としてまとめた。また同様のSDEを用いて、シンクロトロン放射と逆コンプトン散乱によるエネルギー損失を考慮した銀河宇宙線電子成分の伝播の計算が可能であることに着目して、銀河の電波ハローの構造の計算にとりかかっており、その成果は近々のうちにしかるべき雑誌に投稿される予定である。
|
Research Products
(1 results)