2000 Fiscal Year Annual Research Report
一次宇宙線(陽子,ヘリウム)の精密測定による大気ニュートリノ絶対強度の決定
Project/Area Number |
12047206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 浩司 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (50272464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 光昭 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10156193)
佐貫 智行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70323491)
上田 郁夫 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70292836)
森下 伊三男 朝日大学, 経営学部, 教授 (40148200)
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Keywords | 一次宇宙線 / 陽子 / ヘリウム / 大気ニュートリノ / ドリフトチュンバー / BESS |
Research Abstract |
一次宇宙線のエネルギースペクトルを、0.2GeVから500GeVという約4桁にも渡る広いエネルギー範囲に於いて精密に測定するために、BESS測定器のアップグレードを行った。 測定可能なエネルギー範囲を高エネルギー側に広げるために、ドリフト・チェンバーを新規に開発した。このドリフト・チェンバーを導入することで、入射宇宙線の飛跡の位置を60点で測定できるようになり、記録可能な飛跡の長さは約2mに達する。同時に、低いエネルギーの粒子も測定するために、ドリフト・チェンバーの物質量を少なくする必要がある。ガラス繊維布と特殊な発泡材を張り合わせた新しい複合材料を構造体に用いた。十分な強度を持ちながら、物質量は0.12g/cm^2と小さく押えられている。 平成12年度は、ドリフト・チェンバーの実機を製作し、宇宙線やテスト・ビームを用いたテストを行った。この結果、チェンバーの位置分解能として、100μmが達成されていることを確認した。 チェンバーの位置分解能が向上すると、これに見合った高精度な較正システムが必要になる。ドリフト・チェンバー用には、絶対的な位置を保証することが重要である。そこで、細いシンチレーション・ファイバーをチェンバーのワイヤー方向と並行に敷き詰めたカウンターを開発した。ドリフト・チェンバーと組み合わせてビームテストを行い、チェンバーの較正に有効であることを確認した。 平成13年度以降は、開発した測定器を組み合わせて、高精度スペクトロメータを建設する。このスペクトロメータを科学観測用の大型気球を用いて、大気最上層部まで打ち上げ、一次宇宙線のエネルギースペクトルを測定する予定である。 測定器のアップグレード作業を進めると同時に、現行のBESS測定器を用いて一次宇宙線の観測を行った。低エネルギー領域においては、活発な太陽活動の影響を受けて、流束が小さくなっている様子を明確に捉えた。
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Research Products
(1 results)