2001 Fiscal Year Annual Research Report
太陽ニュートリノ・暗黒物質観測のための指向性をもつ反跳検出器の開発
Project/Area Number |
12047211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑輪 眞 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90126178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 慶純 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (20262157)
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Keywords | 反跳 / ニュートリノ / 暗黒物質 / 指向性 / クエンチングファクター |
Research Abstract |
暗黒物質のための原子核反跳検出器を開発するために、まずクエンチングファクターを簡単に測定する方法を開発した。従来、クエンチングファクターは加速器によって作られたエネルギーの決まった中性子ビームを用いて測定されるが、装置が大がかりでいろいろな検出器のクエンチングファクターを迅速に測定するのは簡単ではない。そこで、放射性同位元素^<252>Cfの放出する連続スペクトル中性子を用いてクエンチングファクターを簡単に測定する方法を開発した。有機単結晶シンチレータの一種スチルベンにより散乱された中性子の散乱角と運動エネルギーを決めてやることで実質的に単色中性子線を用いるのと同様にクエンチングファクターを決めることができる。中性子の運動エネルギーは、散乱体であるスチルベンの信号が出てから散乱された中性子を捕らえる別の中性子カウンタが信号を発するまでの飛行時間(TOF)測定による。また、運動学の拘束条件を強くするために,^<252>Cfの放出する即発γ線をNaI(Tl)でとらえて、入射中性子の飛行時間をも測定した。これらの飛行時間とスチルベンの信号波高を事象ごとに取り込みクエンチングファクターの測定に成功した。 また、スチルベン結晶の劈開面と原子核反跳の向きが平行と垂直の場合でクエンチングファクターが異なることも測定することができた。今回測定できたのは、スチルベン中のさ素原子核反跳であったが、とにかく指向性を持つ固体反跳検出器を原理的に作ることができることを示すことができた。この結果は現在論文にとりまとめ中である。
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