2003 Fiscal Year Annual Research Report
一次宇宙線(陽子・ヘリウム)の精密測定による大気ニュートリノ絶対強度の決定
Project/Area Number |
12047227
|
Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 哲也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇田 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (30199658)
吉村 浩司 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50272464)
|
Keywords | BESS気球実験 / 超伝導スペクトロメータ / 一次宇宙線 / エネルギースペクトル / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
平成14年度に実施したBESS気球搭載型超伝導スペクトロメータを用いた宇宙粒子線観測気球実験のデータ解析を進め、1〜540GeVの広いエネルギー領域にわたる一次宇宙線(陽子・ヘリウム)エネルギースペクトルを10%以下の精度で決定した。 平成14年8月に実施された気球実験では気球運用のトラブルから観測時間が予定より短く、また平成15年度の気球実験はNASAの科学観測用大型気球のトラブルの頻発による使用許可取り消しのため実施できなかった。そこで測定器性能の理解を徹底的に深めて平成14年に得られたデータを最大限生かし、初期の目標をほぼ達成するエネルギー領域と精度でエネルギースペクトルを決定できた。 データ解析にあたっては、PCコンプレックスとSANEデータストレージシステムを組み合わせた新しいデータ解析用計算機システムを構築し、フライトデータから信頼できる測定器較正パラメタを導出し、またシミュレーションデータの生成に利用した。 BESS測定器についても地上での観測における高エネルギー領域での粒子識別性能を向上させるため、シリカエアロジェルカウンタの改良を進めた。飛跡検出器読出し用電子回路も10ビット精度のフラッシュADCシステムを構築し、運動量分解能の一層の改善を図った。また超伝導マグネットの運用に必要な機器を更新し、地上観測において効率的に超伝導ソレノイドを運用できるように改善した。 これらの成果は平成15年8月に開催された国際宇宙線会議(ICRC2003)や「第5回ニュートリノ振動とその起源ワークショップ(NOON2004)」、日本物理学会等で報告された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.Haino et al.: "Progress of the BESS Superconducting Spectrometer"Nuclear Instruments and Methods A. 518. 167-171 (2004)
-
[Publications] K.Abe et al.: "Measurements of Proton, Helium and Muon Spectra at Small Atmospheric Depths with the BESS Spectrometer"Physics Letter B. 564. 8-20 (2003)
-
[Publications] S.Haino et al.: "Cosmic-Ray Proton and Helium Spectra Measured in BESS-TeV"Proc.28th Intl.Cosmic Ray Conf.(Tsukuba). 1825-1828 (2003)