2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ微小脳における性的二型示す脳構造とその機能の解明
Project/Area Number |
12048203
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
木村 賢一 北海道教育大学, 教育学部・岩見沢校, 助教授 (80214873)
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Keywords | ショウジョウバエ / 性的二型 / 微小脳 / 触角葉 / 中心複合体 / 嗅覚 |
Research Abstract |
シナプス特異抗体を用いた免疫組織化学染色法と共焦点レーザー顕微鏡を組み合わせ、ショウジョウバエ触角葉糸球体構造を雌雄で比較したところ、特定の糸球体の大きさが雌雄で異なり、ショウジョウバエにおいても糸球体領域に性的二型が存在することを明らかにした。本研究室において作成されたGal4系統および既存のGal4系統、269の系統について、この雌雄性を示す糸球体で発現のある系統のスクリーニングを行った。その結果、この糸球体で発現がある2つの系統を分離した。えられたGal4系統を用い、この糸球体に投射する一次神経を調査したところ、触角に広範囲に分布する嗅覚受容神経細胞であることが明らかになった。 lozenge突然変異体は、嗅覚受容器のうちほとんどのBSと多くのTSを欠損する。lozenge突然変異体において、上記Gal4を発現する嗅覚受容神経細胞はその数が減少していることが明らかになった。このことは、性的二型を示すDA1糸球体に投射する一次神経は、BS/TSタイプのものが含まれていることを示している。 触角葉糸球体における雌雄差が、ショウジョウバエで明らかにされている性決定カスケードのなかで、どの遺伝子により支配されているか理解するために、transformer(tra)遺伝子が糸球体の雌雄差に及ぼす影響を調査した。雄個体において雌化遺伝子tra.Fを強制発現した結果、雌雄差を示す糸球体が雌化していることが明らかになった。一方、tra突然変異体の雌では、この糸球体は雄型に変化していた。このことは、糸球体の雌雄差は性決定遺伝子traにより支配されていることを示している。 poxn突然変異体は、雄不妊となり、その原因は雄の性行動異常によることが明らかになった。これに対応するように、poxn遺伝子は脳の特定領域に局在する神経細胞群で発現していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Awasaki,T.and Kimura,K.-I.: "Multiple function of poxn gene in larval PNS development and in adult appendage formation of Drosophila."Development Genes and Evolution. 211巻1号. 20-29 (2001)