2001 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ初期脳における情報処理中枢の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12048205
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古久保 克男 (徳永 克男) 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (00272154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 文昭 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30199921)
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Keywords | 脳 / 発生 / 遺伝子 / ショウジョウバエ / 学習 / 記憶 |
Research Abstract |
脳の高次構造の形成と可塑性を制御する分子機構を研究するにあたり、ショウジョウバエの脳はすぐれた研究材料を提供している。中でも、ショウジョウバエキノコ体は、脳容積の6割を超える発達した神経構造であり、学習記憶をはじめ多様な高次脳機能の中枢である。また、dunce, rutabaga等の多数の学習記憶遺伝子の発現部位である。成虫脳のキノコ体については、多くの研究が報告されているが、その初期発生様式と制御遺伝子については、神経構造の複雑さに阻まれ、断片的知見しかない。本論文は、ショウジョウバエの脳構造の中でも学習・記憶をはじめとする多くの高次機能の中枢であるキノコ体に焦点を当て、胚発生期のキノコ体前駆細胞で発現する遺伝子の探索を行った。677のGa14エンハンサートラップ系統のハエを用い、胚期脳全体、あるいはキノコ体前駆細胞でGa14遺伝子の発現のある系統をスクリーニングし、キノコ体前駆細胞で発現の見られる35系統と、胚期脳のさまざまな部分で発現が見られる34系統を得た。また、ショウジョウバエデータベースを活用し、748のP因子挿入系統から、抗体染色による発現パターンを元にキノコ体前駆細胞で発現の見られる22系統と、胚期脳の様々な部分で発現の見られる12系統を選別した。さらに、1691個のESTクローンからキノコ体前駆細胞で発現の見られる11個のクローンと、胚期脳の様々な部分で発現の見られる9個のクローンを選別した。以上の実験から選別された系統に対し、インバースPCR法によりP因子挿入部位に隣接する染色体配列を決定し、全ゲノム検索により遺伝子を特定した。これにより、アクチビン様遺伝子Alp23Bや、転写因子をコードするjumu、jing、dpn、dve、grn、retn細胞分裂を制御するcdc2、CyclinEなど総計35個の遺伝子が同定された。
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[Publications] Adachi, Y., Nagao, T., Saiga, H., Furukubo-Tokunaga, K.: "Cross-Phylum Regulatory Potential of the Ascidian Otx Gene in Brain Development in Drosophila melanogaster"Dev.Genes Evol.. 211. 269-280 (2001)
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[Publications] Kurusu, M., Awasaki, T., Masuda-Nakagawa, L.M, Kawauchi, H., Ito, K., Furukubo-Tokkunaga, K.: "Embryonic and Larval Development of the Drosophila Mushroom Bodies : Concentric Layer Subdivisions and the role of fasciclin II"Development. 129. 409-419 (2002)