2001 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動で見られる神経回路網可塑性の発現機構の研究
Project/Area Number |
12048214
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長濱 辰文 神戸大学, 理学部, 助教授 (70145001)
|
Keywords | アメフラシ / シナプス修飾 / ドーパミン / DIアンタゴニスト / 修飾ニューロン / 神経回路網 / 可塑性 / 摂食行動 |
Research Abstract |
アメフラシはアオサを好んで食べるが、マクサやサナダグサを嫌って吐き出す。摂食から吐き出しへの口の運動パターン変化は、閉口運動ニューロン(JC)の発火パターンの変化が大きな要因である。この神経機構を調べると、サナダグサの場合、JCニューロンを単シナプス性に抑制するMAニューロンの発火パターンが変化するのに対し、マクサの場合、MA発火パターンは変わらずMA⇒JC間のシナプス伝達が大きく抑圧されることがわかった。そこでまず、マクサの場合のシナプス伝達抑圧に寄与する中枢内修飾ニューロンの探索を行った。その結果、脳神経節内Mクラスターに細胞体があり口球神経節に直接軸索をのばすニューロン(CBM1)を見いだした。このニューロンは口唇へのアオサ味刺激よりマクサ味刺激でより高頻度に発火し、また発火によりMAがJCに誘発するシナプス応答を抑制した。さらにカテコールアミンを含有することも示唆された。 昨年までのこれら成果に基づき、今年度はCBM1の修飾機構をより詳しく調べた。その結果、MA-JCシナプス領域への微小ピペットからのドーパミン局所添加がCBM1の効果に良く似たシナプス修飾を誘発すること、またドーパミンD1受容体のアンタゴニスト(SCH23390)の存在下、この修飾作用が減少することがわかった。さらにCBM1のシナプス修飾効果もSCH23390存在下で減少することがわかり、CBM1はドーパミンを修飾物質として利用し、シナプス部のD1受容体に作用していることが示唆された。また、MA-JCシナプスの伝達物質がアセチルコリンであることを利用し、シナプス領域へのアセチルコリン添加応答へのドーパミン作用を調べたが変化がみられず、CBM1の作用はシナプス前側であることも示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yoshida, R: "Calcium imaging for detection and estimation of spike activities in Aplysia neurons"Zoological Science. 18. 631-643 (2001)
-
[Publications] Narusuye, K: "Neural mechanisms generating rejection of seaweed: taste responses of Aplysia CBM1 neuron and its modulatory function"Japanese Journal of Physiology. 51. S191 (2001)
-
[Publications] Nagahama, T: "Neural mechanisms for modulation of Aplysia feeding behaviors"Japanese Journal of Physiology. 51. S20 (2001)
-
[Publications] Yoshida, R: "Responses of cerebral C and G cluster neurons to taste of seaweeds in Aplysia kurodai"Comparative Biochemistry and Physiology. A130. 882 (2001)
-
[Publications] Matsumoto, Y: "Taste learning appeared in the food preference behavior of Aplysia kurodai"Society for Neuroscience Abstract. 26. 2034 (2000)
-
[Publications] Nagahama, T: "Synaptic modulation contributes to firing pattern generation in jaw motor neurons during rejection of seaweed in Aplysia kurodai"Journal of Neurophysiology. 82. 2579-2589 (1999)