2000 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞モザイク誘導系を用いたショウジョウバエ概日時計振動体間相互作用の解析
Project/Area Number |
12048215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 顕 九州大学, 大学教育研究センター, 助手 (40229539)
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Keywords | 概日時計 / ショウジョウバエ / カップリング |
Research Abstract |
概日振動体間のcouplingへの関与が疑われている神経ペプチド(pigment dis-persing factor)の突然変異体(pdf^0)に関して、pacemaker cell毎の個別の概日振動を、時計遺伝子TIMの発現量と核移行を指標にして蛍光免疫抗体染色法を用いて調べた。その結果、pdf^0では、1.明暗サイクル下では視細胞、LNsともにTIMの発現量や核移行タイミングには野生型との差は見られなかった。2.恒暗条件(DD)に移して数日後からTIMの核移行がみられなくなると共に、3.通常はTIMを発現していないはずのLNs周辺細胞でTIMの発現が見られるようになった。4.この変化は幼虫でも見られたが、成虫の場合よりも、より少ない日数で異常が生じた。5.これらの異常は1個体内では常に左右対称に起きた。6.野生型成虫の視細胞ではTIM発現の減衰がDDでは徐々に起きるが、pdf^0では減衰が生じなかった。これらの結果は、1.PDFは少なくとも左右の概日振動体間でのcouplingには重要ではなく、2.PER/TIM dimerの核移行に対して影響を及ぼすこと、言い換えると、ショウジョウバエの自律的概日振動を維持するために不可欠な因子であること、および、3.LNs周辺部の細胞に対して、時計遺伝子発現を抑制していることを示唆すると考えられる。また4.明暗サイクル下ではpdf^0でも全く異常が見られないことから、上記の作用は明暗サイクルが概日時計機構に及ぼす作用と部分的には相補的であると考えられる。
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[Publications] Ishimoto,h.,Motsumoto,A.,and Tanimurn,T.: "Mokcular identifination of taste receptor gene for Trehalose in Drosophila"Science. 289. 116-119 (2000)