2000 Fiscal Year Annual Research Report
中脳コリン作動系とドパミン作動系の相互作用と運動・情動・意識の統合制御
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12050202
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高草木 薫 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10206732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 和也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20301997)
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Keywords | コリン作動系 / ドーパミン作動系 / 線状体 / 脚橋被蓋核 / 黒質緻密部 / 運動(歩行運動) / 情動 / 意識 |
Research Abstract |
中脳には、脚橋被蓋核に存在するコリン作動性細胞と黒質網様部や腹側被蓋核に存在するドーパミン作動性細胞が存在する。そして双方の相互作用が、中枢神経系の活動を維持する上で重要であるという作業仮説を基盤に本課題を遂行した。特に、本年度は、各々の神経伝達物質の主たるtargetが基底核(線状体)であることに着目し、ここにコリン作動性物質を微量注入し、基底核の運動機能異常モデルのを作成し、これにより誘発される運動行動の変化を解析した。まづ最初に、一側の尾状核にコリン作動性物質であるCarbacholを微量注入した。注入前には、ネコは実験者や周囲の物に対して関心を示し、機嫌良く鳴き声をあげて動き回っていたが、Carbachol注入により、反対側に向う頭頚部の偏向と反対側に向かう回転歩行運動(circling walking)が誘発された。引き続き、歩行は減少し、やがてネコはうずくまった状態になり動かなくなった。また、鳴く回数は減少し、実験者が手を出すと、後ずさりしながら唸り声や、さらに威嚇行動(Hissing)が観察された。そして、この運動・行動は約2時間にわたり観察することができた。一方、コリンエスレラーゼ阻害在であるネオスティグミンを微量注入し、内因性のアセチルコリンを賦活させた場合においても、ほぼ同様な成績を得ることができた。従って、線状体に対するコリン作動性投射は、(1)ネコの歩行運動や発生運動などの運動量の制御と、(2)恐怖や威嚇などの情動の制御に関与すると考えられれる。そしてこれらの行動変化の背景には周囲に対象物に対する認知過程や価値判断の過程、そして行動表出の過程において基底核のコリン作動性投射が重要な働きを持つことが示唆された。即ち、基底核は、動物の内面で生じている情動の変化を運動行動として表出させる上で重要な役割を担っていると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takakusaki,K.: "The medullary reticular formation produces parallel inhibitory…"Neuroscience Research. 24. 151 (2000)
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[Publications] Takakusaki,K. et al.: "The nigrotegmental systems involved in the control of locomotion…"Society of Neuroscience abstract. 26. 1224 (2000)
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[Publications] Takakusaki,K. et al: "Basal ganglia control of muscle tone and locomotion…"Japanese Journal of Physiology. (in press).
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[Publications] Takakusaki,K. et al.: "Medullary reticulospinal tract mediating the generalized…"Neuroscience. (in press).
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[Publications] 高草木薫: "基底核による歩行運動と筋緊張の制御."日本臨床神経生理学会雑誌. (印刷中).
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[Publications] 斉藤和也 他: "黒質網様部から中脳ドーパミン細胞への抑制性投射に…"日本生理学会雑誌. (印刷中).
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[Publications] 高草木薫: "上原記念生命科学財団・研究報告集"財団法人・上原記念生命科学財団.. 3 (1998)