2001 Fiscal Year Annual Research Report
変異プリオン蛋白のプリオン増殖抑制効果とその遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
12050204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村本 環 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40302096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北本 哲之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20192560)
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Keywords | ブリオン / コンフォメーション / 変異 / バイオアッセイ / 遺伝子治療 / 神経変性 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
班員は、プリオン蛋白(PrP)のアミノ酸配列のうち最もN末端寄りのa-helixを欠損するPrP(PrPdelH)を発現するトランスジェニック(Tg)マウスにマウスプリオンを接種した場合、コントロールマウスと比較して潜伏期間が著しく延長することを発見した。すなわち、PrPdelHはマウスプリオン病の発症を抑制する効果を持っていた。この効果はPrPdelH発現量に正に相関していた。発症したPrPdelH発現マウス脳内に蓄積した異常PrPの量はコントロールマウスと比較して少なく、PrPdelHはPrPの異常化そのものを抑制することで発病を遅延させていることが明らかとなった。 PrPdelHの抑制効果がマウスプリオン以外のプリオンに対しても発揮されるか否かを検証するために、ヒトプリオンに高感受性を持つヒト/マウスキメラPrP発現マウスにPrPdelHを同時発現させ、ヒトプリオンを接種した。キメラPrP/PrPdelH共発現マウスでは、ヒトプリオン接種後の潜伏期間がキメラPrP単独発現マウスと比較して高度に延長し、PrPdelHはヒトプリオンによるプリオン病発病を抑制する効果も有することが判明した。 プリオン感染培養細胞系では、N末端a-helixの欠損を導入することがPrPの異常化を強く抑制することが確認された。また、PrPdelH等変異PrPの抗プリオン効果を培養細胞において再現する3種類のプロトコ-ルが確立された。さらに、このプロトコールを用いてPrPdelHよりも強い抑制効果を持つ複数の変異PrPを開発することに成功した。それ,らの分子の幾つかは、野性型PrPと同等の溶解性を持つなど、比較的不溶性のPrPdelHと比較して物性の面でもより優れていた。
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