2001 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスに対する行動・自律性応答に関与する基底核―視床―皮質回路のシステム的解明
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12050217
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大竹 一嘉 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10168966)
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Keywords | immobilization / Fos / midline thalamus / ventral subiculum / raphe / medullary reticular formation / behavior |
Research Abstract |
視床室傍核(PVT)は、様々のストレス刺激によって強く賦活されることが知られており、ストレスに関連する情報を臓性・辺縁系領域に伝える中継点としての役割が示唆されている。しかしながら、PVTは視床下部・下垂体・副腎皮質系(HPA axis)の中核である視床下部室傍核(PVH)との直接的な線維連絡はなく、ストレス情報がいかなる経路でPVTに伝えられるのかは明らかにされていない。 本研究では先ず、PVTへの求心性入力のうちで拘束ストレス刺激によって活性化されるニュ-ロン群を、コレラトキシンBサブユニットを用いた逆行性標識法とFosタンパクに対する免疫組織化学とを組み合わせて解析し、以下の結果が得られた。拘束ストレスによって賦活されたPVTへの入力源は、大脳皮質では、主として腹側海馬台の錐体細胞層、間脳の不確帯、中脳の背側縫線核および中心灰白質、橋の結合腕傍核、Barrington核、青斑核、延髄の孤束核、腹外側網様体などであった。 これらの入力源の多くは、PVHへも投射していることから、次に、PVTとPVHが共通のストレス刺激の情報をshareしている可能性について検討した。PVTとPVHにそれぞれ異なる逆行性蛍光トレーサー(FluoroGoldおよびFluoroRed)を注入する逆行性二重標識法により、分界条床核、中脳の背側縫線核、青斑核、延髄腹外側網様体、孤束核などのニュ-ロンが視床と視床下部の両方に軸索を投射していることが明らかになった。 分界条床核が腹側海馬台からの情報をPVHに伝える中継点の役割をしているという可能性を考慮すれば、皮質下の情報のみならず、皮質からの情報もPVTとPVHにparallelに伝えられ、それぞれの情報がbehavioral responseあるいはendocrine responseを発現することが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura, Y., Okuno, S., Kitani, T., Otake, K., Sato, F., Fujisawa, H.: "Immunohistochemical localization of Ca^<2+>/calmodulin-dependent kinase kinase a in the central nervous system"Neuroscience Research. 39. 175-188 (2001)
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[Publications] Otake K Nakamura, Y., Tanaka, I., Ezure, K.: "Morphology of pulmonary rapidly adapting receptor relay neurons in the rat"Journal of Comparative Neurology. 430. 458-470 (2001)
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[Publications] Ezure, K., Tanaka, I., Saito, Y., Otake K: "Axonal projections of pulmonary slowly adapting receptor relay neurons in the rat"Journal of Comparative Neurology. (印刷中).