2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳原基移植による鳥類キメラを用いた脳と行動の性分化機構の解析
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12050218
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00211483)
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Keywords | 性分光 / 鳥類胚 / 脳原基移植 |
Research Abstract |
本研究は、鳥類胚の特色を生かして哺乳類では不可能に近い胚時期における脳原基の移植を行い、脳の形態や性特異的行動の性分化が、もともとの脳組織によってどこまで決められているのかについて明らかにすることを目的としている。従来の脊椎動物における性分化の研究によって、性ホルモンの役割については明らかになってきているが、脳の「性別」によっておこる性分化については全く未知である。今年度は、その手始めとして、孵卵開始後1.5日目のニワトリ胚を用いて、生殖腺の分化が未だ起きていない発生段階初期の脳原基を雌雄間で入れ換える技術を確立している。雌雄の確認には、Z染色体とW染色体の両方にわずかに異なる配列を持って存在するクロモヘリカーゼDNA結合遺伝子を利用している。これら二つの遺伝子の違いを検出できるようなプライマーを設定し、組織から抽出したDNAについて、これらのプライマーを用いたPCRによる産物が雄型のZZであるか、雌型のZWであるかを調べることにより、性別を決定することに成功している。現在、手術胚は、孵卵17日目までは成育させられることが確認できているので、今後、これらの胚の孵化を目指す。 また、鳥胚における脳の解剖学的性差について検討した。その結果、脳重量を比較すると、孵卵開始後15日目にはすでに雄の方が大きいこと、性的二型核といわれているPOA(Preoptic area)の大きさも胚時期にすでに雌雄で差がでてくること、また、脳の形や血管の走行様式などにも雌雄差が認められることが明らかになった。
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