2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12050227
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00191429)
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Keywords | 大脳皮質 / 水平軸索 / 神経活動 / スライス培養 / 軸索分枝 / GFP / ラット |
Research Abstract |
神経回路の基本的枠組みが発生プログラムに従って形成されるのに対して、細部構築は神経活動により修飾されると考えられている。後者の形成機構を研究するために、我々は大脳皮質2/3層での神経細結合に着目している。これまでの研究から、発達期に2/3層の錐体細胞から発する軸索側枝(水平軸索、horizontal axon)は同じ層に沿って伸長しながら、枝分かれを形成することが示されている。さらに、水平軸索の分枝形成には神経細胞の電気的活動が関与することも示唆されている。しかしながら、軸索の枝分かれ形成を引き起こす神経活動の特性や、それを仲介する分子機構についてはほとんど知られていないのが現状である。この問題に取り組むために、我々はラット大脳皮質切片を長期間培養し、GFP標識法を用いて個々の軸索の分枝形成を解析できる系を確立することによって、以下の問題に対して実験を行った。 1)培養下においてもin vivoで形成されるのと同様な枝分かれが生ずるか? 2)電気的活動度の増減によって枝分かれ形成が変化するか? 3)軸索の形態変化を担う細胞内骨格タンパクの動態を制御する分子機構の関与は? 実験を通して、次の3点が明らかになった。1)培養2週間で脳内で生ずるのと似た軸索分枝が形成される。2)チャネルブロッカーなどの慢性的投与により自発的発火活動を抑制することによって、分枝形成が減少する。3)small GTPaseの一種であるRhoの活性化体の遺伝子導入によって分枝形成が促進される。以上より、水平軸索の分枝形成は神経活動度の増減によって修飾されること、その細胞内機構としてRhoAが促進的に作用することが示唆された。
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