2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12052204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20197164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 祐子 農林水産省, 生物資源研究所, 上席研究官
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Keywords | ウイルス抵抗性 / シグナル伝達機構 / WIPK / 抵抗性遺伝子 / スペルミジン / サリチル酸 / ジャスモン酸 / 葉緑体プロテアーゼ |
Research Abstract |
植物がウイルスを認識してから、抵抗性反応が誘導されるまでの間のシグナル伝達系については明らかになっていない。本研究では、病原ウイルスとしてTMVとCMV、宿主植物としてシロイヌナズナとタバコを用いて過敏感細胞死の機構、ウイルス抵抗性の発現に至るシグナル伝達カスケードを解析した。(1)CMV抵抗性遺伝子(RCY1)を有するシロイヌナズナを、SA、JA、エチレンを介した各シグナル伝達系の変異体とそれぞれ交配し、雑種後代から、RCY1と各変異遺伝子をそれぞれホモに持つ個体を選抜した。各変異体にCMV(Y)を接種したところ、抵抗性発現には、npr1-5非依存性のSAを介したシグナル伝達系と、エチレンを介したシグナル伝達系が関与していることが明らかになった。しかし、いずれの伝達系変異体においても、すべての個体でウイルスが全身感染してはいないことから、新規なシグナル伝達系が、抵抗性に中心的な役割を果たしている可能性が考えられた。さらに、この抵抗性反応を決定している遺伝子RCY1を単離するため、RCY1遺伝子座のfine mappingを行ったところ、第5染色体の長腕に存在するマーカーDFRとT43968の間(約350kb)にマップされた。 (2)抵抗性遺伝子Nを有するタバコ品種はTMVに対して抵抗性(HR)を示す。N遺伝子が働けない30CでTMVを増殖させておいたタバコ葉を、N遺伝子が働ける20Cに移すと、約8時間後に同調的細胞死が起こる。(a)この同調的HR誘導系においては、温度シフト後3時間でWIPK(傷誘導性のMAPキナーゼ)mRNAが蓄積し、次にWIPKの活性が高まった。さらに、(b)上記のシグナル物質の他、ポリアミンの一種であるスペルミンが、また発現遺伝子として新規にペルオキシダーゼ遺伝子が単離された。(c)温度シフト後、その転写産物が6時間後には急減する遺伝子として、NtFH遺伝子を単離した。このセンスまたはアンチセンス遺伝子を過剰発現させ、NtFHタンパク質量を変化させて形質転換体を作ったところ、前者では病斑の直径が対照より大きく、後者では小さくなった。これらの結果は、このプロテアーゼは、葉緑体の中でそのホメオスタシスを保つために働いていると考えられるので、TMV感染やN遺伝子発現の影響を受けてその量が減少することが、その細胞を早く死に至らしめる原因になることを示唆しているのではないかと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takahashi,H., et al.: "Mapping the virus and host genes involved in the resistance response in Cucumber mosaic virus-infected Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiol.. (in press). (2001)
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[Publications] Takahashi,H., et al.: "A variant of Cucumber mosaic virus can cause host response to restrict its movement in the inoculated leaves with the hypersensitive response."J.Gen.Plant Pathol.. 66. 335-344 (2000)
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[Publications] Sugiyama,M., et al.: "Characterization of symptom determinants in two mutants of cucumber mosaic virus Y strain, causing distinct mild green mosaic symptoms in tobacco."Physiol.Mol.Plant Pathol.. 56. 85-90 (2000)
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[Publications] Seo,S., et al.: "Reduced Levels of Chloroplast FtsH Protein in Tobacco Mosaic Virus-Infected Tobacco Leaves Accelerate the Hypersensitive Reaction."Plant Cell. 12. 917-932 (2000)
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[Publications] Kosugi,S., et al.: "Cloning and DNA-binding properties of a tobacco Ethylene-Insensitive3 (EIN3) homolog."Nucleic Acids Research. 28. 960-967 (2000)
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[Publications] Hiraga,S., et al.: "Wound-induced expression of a tobacco peroxidase is not enhanced by ethephon and suppressed by methyl jasmonate and coronatine."Plant Cell Physiol.. 41. 165-170 (2000)