2003 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起スパイン内細胞骨格再編成の分子基盤とその制御機構
Project/Area Number |
12053209
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
白尾 智明 群馬大学, 医学部, 教授 (20171043)
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Keywords | 樹状突起スパイン / アクチン結合蛋白 / ドレブリン / 神経発生 / シナプス可塑性 / 統合失調症 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本年は、昨年までの研究を継続し、初代海馬培養神経細胞を用いて、シナプス形成過程を解析した。その結果まず、(1)フィロポディアにドレブリンとアクチンが集積し、(2)次に、その集積部にPSD-95が集まってきて、(3)その後スパインに形態が変化していくことを明らかにした。また、ドレブリンAの発現を抑制すると、スパイン形成が抑制されることを明らかにした。さらに、GFP融合ドレブリンAをマイクロインジェクション法により培養1週間目の海馬神経細胞に発現させ、ドレブリン、アクチン、PSD-95の集積だけでは、フィロポディアからスパインへの変化は誘導されないことを明らかにした。この結果は、フィロポディアからスパインへの変化には、神経活動やシナプス前部からの液性因子あるいは接着などの影響が必要やあることを示唆している。そこで、神経伝達物質受容体を介した影響を解析し、現在までのところ、ドレブリンの集積・離散には種々のグルタメートリセプターの活性が差別的に作用していることがしわかってきている。 興奮性シナプスと抑制性シナプスの形成機構を比較するために、GFPをGAD67遺伝子にノックインした動物の海馬より初代培養細胞を作製し、タイムラプス顕微鏡システムによりシナプス形成を観察した。現在、培養後7日までの観察に成功しているが、それ以降はGFPの発現が現弱してしまい、抑制性シナプス形成の全貌を解析することにはまだ成功していない。また、カルモジュリンカルシウム依存性リン酸化酵素のプロモーターの下流にGFP融合ドレブリンAを組み込んだトランスジェニックマウスより初代海馬培養神経細胞を作製し、シナプス形成を観察する試みも開始している。 また、成熟ラット脳内におけるドレブリンAの発現を抑制し、行動変化を解析したところ、プレパルスインヒビションに異常が現れ、統合失調症のモデル動物となる可能性が示唆された。 さらに、ドレブリンA発現を特異的にノックアウトしたマクスの作製に成功した。
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[Publications] Takahashi, H.: "Drebrin-dependent Actin Clustering in Dendritic Filopodia Governs Synaptic Targeting of Postsynaptic Density-95 and Dendritic Spine Morphogenesis"J.Neurosci.. 23. 6586-6595 (2003)
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[Publications] Ferhat, L: "Upregulation of acidic calponin during dendritic spine plasticity following pilocarpine-induced scizures"Hippocampus. 13. 845-858 (2003)
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[Publications] Kobayashi, R.: "Antisense knockdown of drebrin A, a dendritic spine protein, causes stronger preference, impaired pre-pulse inhibition, and an increased sensitivity to phychostimulant"Neurosci.Res.. (In press).
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[Publications] Butkevich, E.: "Drebrin is a novel Connexin-43 binding partner that links gap juncions to the submembrane cytoskeleton."Curr.Biol.. (In press). (2004)
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[Publications] 関野祐子: "スパインアクチン細胞骨格は興奮生シナプス成熟を制御する"蛋白質・核酸・酵素. 49. 270-275 (2004)
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[Publications] 白尾智明: "蛋白レベルから見た神経シナプスの発達と異常"日本精神神経薬理学雑誌. (印刷中).