2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石金 浩史 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30323562)
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Keywords | 網膜 / 網膜神経節細胞 / アマクリン細胞 / 同期的スパイク発火 / 周期的スパイク発火 / シナプス / グルタミン酸トランスポーター / 逃避行動 |
Research Abstract |
申請者らは、カエルの剥離網膜標本に平面型マルチ電極を適用して複数の神経節細胞から光応答を記録・解析した結果、受容野の離れたオフ持続型神経節細胞(ディミング検出器)間で同期的周期的スパイク発火が生じることを見いだし、既に報告した。本計画研究の目的は、同期的周期的スパイク発火が生じる網膜の神経機構を明らかにすると共に、このようなスパイク発火が視覚中枢でどのように利用され、且つ、行動に反映されるのかを解析することである。 本年度の研究成果は以下の通りである。 1.カエルの剥離網膜標本にホールセル・クランプ法を適用してディミング検出器へのシナプス入力を解析した結果、アマクリン細胞からディミング検出器へ律動的なシナプス入力が送られていることがわかった。また、スライス標本を用いてアマクリン細胞の光応答を記録した結果、オフ持続型の中には周期的な光応答を示すものが見いだされた。 2.カエルの剥離網膜標本にマルチ電極法を適用してディミング検出器から様々な光パターン刺激に対する応答を記録した結果、時間的同時性と空間的連続性を同期的周期的スパイク発火によってコードしていることが示唆された。 3.ディミング検出器に同期的周期的スパイク発火を起こさせる光パターン刺激をカエルに提示すると、逃避行動が生じることが確認できた。また、同期的周期的スパイク発火を薬理学的に阻害すると、逃避行動が可逆的に阻害されることが明らかになった。 4.光応答に対する神経節細胞のスパイク発火パターンは、シナプス間隙における伝達物質濃度によっても大きく影響を受ける。野生型マウスとグルタミン酸トランスポーターの一種であるGLASTを欠損したマウスにおける光応答を定量的に解析した結果、トランスポーターのサブタイプによって関与するシナプス伝達の周波数帯域が異なることがわかった。
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[Publications] Bergiund, K., Midorikawa, M., Tachibana, M.: "Increase in the pool size of releasable synaptic vesicles by the activation of protein kinase C in goldfish retinal bipolar cells"Journal of Neuroscience. 22・12. 4776-4785 (2002)
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[Publications] Ishikane, H., Gangi, M., Tachibana, M.: "Synchronous oscillations in frog retinal ganglion cells"基礎心理学研究. 21・1. 47-48 (2002)