2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石金 浩史 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30323562)
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Keywords | 網膜 / 網膜神経節細胞 / 周期的同期発火 / シナプス伝達 / GABA受容体 / 逃避行動 |
Research Abstract |
拡大する黒スポット光に対するカエルの逃避行動と網膜神経節細胞のスパイク発火パターンとの関連について検討した。これまで既に、逃避行動は眼球内にGABA_A受容体の阻害剤を投与すると抑制され、GABA_C受容体の阻害剤を投与すると亢進されること、また、ディミング検出器(オフ持続型神経節細胞)群の周期的同期スパイク発火はGABA_A受容体の阻害剤で抑制され、GABA_C受容体の阻害剤で増強されることを報告した。今年度は、拡大する黒スポット光刺激に対する各種神経節細胞のスパイク応答をマルチ電極で記録し、スパイク列を様々な手法(PSTH、自己相関、相互相関、パワースペクトル、ユニタリーイベント解析、移動窓相互相関、相互情報量など)で解析した。その結果、拡大する黒スポット光に対するディミング検出器以外の神経節細胞(エッジ検出器やバグ検出器など)の応答は、GABA受容体阻害剤によってほとんど影響を受けないことが明らかになった。したがって、カエルに視覚誘発性の逃避行動を引き起こすのに必須な情報はディミング検出器群の周期的同期スパイク発火によって運ばれていると結論した。 次に、ディミング検出器群に周期的スパイク発火が生じる機構について検討した。ディミング検出器の周期的スパイク発火は網膜内層で生じる律動的なシナプス入力によって引き起こされていることを既に報告した。今年度は、ディミング検出器に律動的なシナプス後電位を発生させる伝達物質について調べたところ、GABAやグルタミン酸ではなく、アセチルコリンによって伝達されることがわかった。また、ニコチン作動性アセチルコリン受容体の抗体を用いて免疫組織化学的にカエル網膜におけるアセチルコリン陽性細胞の存在を確認した。
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