2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30260037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 悦子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30282718)
谷藤 高子(森本 高子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10311648)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経軸索 / 軸索誘導 / 異所発現トラップ / 神経発生 / 神経回路 / 神経認識 / 神経 |
Research Abstract |
本研究ではショウジョウバエにおいて最近開発された方法論である異所発現トラップ法を用い、生体における軸索伸張への影響を直接指標にし、新規の軸索誘導分子を組織的に探索することを試みた。このため昨年度までの研究計画において約2000系統についてスクリーニングを行い、神経系全体での強制発現が神経軸索伸長に異常を生ずるような系統を約30系統単離した。本年度は、得られた系統についてPエレメント挿入部位近傍に存在する原因遺伝子の転写産物をRT-PCR法によりクローニングし、塩基配列を決定した。得られた塩基配列をもとにホモロジー検索を行い、新規の遺伝子であるかどうか、また新規の遺伝子の場合既知の他の遺伝子との相同性を調べた。その結果、同じ遺伝子座への複数系統の挿入があることが分かり、解析した30系統は16の遺伝子座への挿入株であることが判明した。このうち、12は既知の遺伝子座への挿入であった。その中には、軸索誘導に関わるガイド分子であるslitが含まれていた。この他、神経発生に関与することが知られている転写因子が多数含まれていた(tramtrack, enhancer of split, schunurri, pointedなど)。一方新規の遺伝子座への挿入株は4つしかなく、このうち1つはzink fingerをもつ新規の転写因子ファミリーに属するものであり、他の2つはmyosin様分子、formin homologyドメインをもつ分子をコードしており細胞骨格制御に関連したものと考えられ、残りの1つは既知のドメインをもたない遺伝子で、軸索誘導に関連すると期待されるような遺伝子は含まれていなかった。得られた既知の遺伝子の中にslitが含まれていたことは、本手法が有効に働いていることを示すものであるが、残念ながら本スクリーニングからは新規の軸索ガイド分子の候補を同定することはできなかった。
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[Publications] 梅宮猛, 高須悦子, 竹市雅俊, 相垣敏郎, 能瀬聡直: "Forked end : a novel transmembrane protein involved in neuromuscular specificity in Drosophila identified by gain-of-function screening"Journal of Neurobiology. (in press).