2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30260037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 悦子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30282718)
谷藤 高子(森本 高子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10311648)
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Keywords | ショウジョウバエ / 軸索誘導 / シナプス形成 / カプリシャス / 視神経 / 神経回路 / 神経筋 / 神経発生 |
Research Abstract |
特異的なシナプス形成の機構を解明するため、ショウジョウバエの標的認識分子カプリシャスに関する以下の研究を行った。 1.視神経の層特異的投射におけるカプリシャスの役割 昨年度計画において我々はカプリシャスが特定の視神経細胞とその標的部位において特異的に発現していること、機能欠失体においてこの標的部位における神経終末の配置パターンに乱れが生ずること、を見いだした。これらの結果はカプリシャスがこの系においてシナプス特異性の決定に関与していることを強く示唆している。そこで本年度はさらにこの可能性を検討するため、カプリシャスを本来発現していない視神経において異所発現し、その影響を調べた。視神経細胞R7とR8は脳内のmedulla領域の異なった層に投射する。カプリシャスはR8とその投射層において発現する一方、R7とその投射層には発現しない。R7においてカプリシャスを強制的に発現すると、R7がより浅い層であるR8の投射領域に投射するようになった。この結果は、カプリシャスが特定の視神経とその標的部位に発現することにより層特異的な投射に関与するという仮説を支持するものである。 2.神経筋シナプス形成におけるカプリシャスのライブイメージング 神経筋シナプス形成過程においてカプリシャスは特定の運動神経とその標的において発現し、特異的なシナプス形成を媒介する。この過程におけるカプリシャスの挙動を調べるため、筋肉細胞においてカプリシャスと蛍光蛋白質GFPとの融合蛋白質(Caps-GFP)を発現し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてその挙動を追った。すると興味深いことにCaps-GFPは、筋肉細胞が伸ばす突起(myopodia)の先端部に集積していた。この結果は標的細胞が突起の先端部に標的認識分子を提示しながら、積極的にシナプス前細胞の成長円錐を探索していることを示唆するものである。
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