2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053224
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渋木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
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Keywords | 聴覚野 / 体性感覚野 / シナプス可塑性 / フラビン蛋白質 / 光学的記録法 / 自家蛍光 / アセチルコリン / 行動学的解析 |
Research Abstract |
聴覚野切片の異なる白質部位を秒単位の時間差をつけて高頻度刺激すると先行刺激に特異的にLTPが起きる。このLTPの時間依存性がM1ムスカリン受容体に依存することが既に判っているので、アセチルコリン作動性神経を特異的に破壊する抗体と毒物の複合体(192IgG-saporin)を局所投与したラットを用い、これらの動物で音の順序弁別機能の行動学的な解析を行った。その結果、異なる二音の弁別機能は192IgG-saporinによって影響されないが、二つの音の提示の順序弁別機能が特異的に障害を受けることが判った。さらにこの障害はムスカリン受容体作動薬の一部の機能を持つLinopirdineによって改善することが判った。 以上のような行動学的な解析結果と細胞レベルの結果をダイレクトに比較するのは困難である。そこで丸ごとの動物の脳における神経活動を解析するためフラビン蛋白蛍光を用いた光学的記録法を開発した。まず脳切片で電気刺激に対して緑色自家蛍光が大きく変化することを見出した。この反応はフラビン蛋白質の特異的な阻害剤のDPIでブロックされた。同様のフラビン蛋白蛍光変化はウレタン麻酔したラットの脳表を露出し、電気刺激を加えた後にも観察された。また前肢・後肢の機械的刺激に対する体性感覚野の、また音刺激に対する聴覚野の反応も記録した。これらは0.1-0.3秒程度の時間分解能をもち、また振幅が電気刺激に対して20%、自然刺激に対して2-3%と非常に大きいという特徴を示した。これは従来の方法の反応振幅と比べ10-100倍にも相当する。また通常は片側後肢の機械刺激は対側の体性感覚野を興奮させるが、同側の体性感覚野を電気的に高頻度で刺激した後に記録を行うと、片側後肢の刺激に対して両側の体性感覚野が反応を示すようになった。この結果は両側大脳皮質をつなぐ神経回路が活動依存性の可塑性を示すことを示唆する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 渡部俊介他3名: "Long-lasting memory of sounds combined with reward in rats"Neuroscience Letters. 311. 25-28 (2001)
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[Publications] 関健二郎他2名: "Sequence dependence of posttetanic potentiation after sequential heterosynaptic stimulation in the rat auditory cortex"Journal of Physiology (London). 533. 503-518 (2001)
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[Publications] 木村慎二他6名: "Cerebrospinal Fluid Nitric Oxide Metabolites are Novel Predictors of Pain Relief in Degenerative Lumbar diseases"Pain. 92. 363-371 (2001)