2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053224
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
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Keywords | フラビン蛋白 / 脳機能イメージング / 聴覚野 / 体性感覚野 / 視覚野 / マウス / シナプス可塑性 / 発達 |
Research Abstract |
マウスの頭蓋骨は透明度が高いので麻酔マウスの大脳皮質の光学的なイメージングを頭蓋骨を介して行うことができる。今年度はこの経頭蓋的フラビン蛋白蛍光イメージングを用いてマウス大脳皮質感覚野の可塑性を解析した。 聴覚野では音刺激の高さによって特徴的な反応パターン(tonotopic map)が知られているが、これを確認した。次に特定の周波数(10キロヘルツ)の音に幼若期より曝したときの聴覚野可塑性について解析した。その結果、10キロヘルツの反応は有意に増強されるが、5キロや20キロヘルツに対する反応は必ずしも増強されなかった。音に曝す期間を色々変化させたが、その効果に特定の臨界期は認められなかった。また動物を防音室で飼育すると聴覚野の反応の振幅や持続時間が有意に小さくなった。明確な臨界期が認められないことは視床-皮質シナプスではなく、皮質内回路の変化を推定させる。この可能性について検討するため、様々な音環境で飼育した動物から皮質切片を作製し、上顆粒層に連発電気刺激を加えて、興奮パターンをフラビン蛋白蛍光法で解析した。その結果、皮質の深さ方向への興奮の伝搬が防音室で飼育したマウスでは有意に抑えられた。以上の結果は、発達期の音環境が聴覚野応答を可塑的に調節し、特に皮質の垂直方向の結合が活動依存的に調節されることを示している。 さらに経頭蓋的フラビン蛋白蛍光イメージングをマウス視覚野活動の解析に利用したところ、視野に応じた皮質部位が応じ(retinotopic map)、また単眼の遮蔽により、遮蔽眼の応答が弱まることが判った。この時の可塑性は生後4週間前後に明確な臨界期が認められた。また体性感覚野では尾の切断に伴って、周辺の皮膚刺激に対する皮質応答部位(somatotopic map)が可塑的に改変されることが判った。
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