2003 Fiscal Year Annual Research Report
発達脳におけるシナプス除去と機能成熟に関与するシグナル伝達系
Project/Area Number |
12053226
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
狩野 方伸 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40185963)
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Keywords | 生後発達 / 小脳 / プルキンエ細胞 / 登上線維 / 多重支配 / シナプス除去 / カルシウムチャネル / スライス |
Research Abstract |
本研究では、発達期小脳でみられる登上線維シナプス除去と機能成熟の分子機構を解明することを目標とし、種々の自然発生ミュータントマウスおよび遺伝子改変マウスの解析を計画している。本年度は、dilute-neurological (dn) mouse(ミオシンVの異常により、プルキンエ細胞樹状突起スパイン内の滑面小包体に異常がある)と高閾値型のP/Qタイプカルシウムチャネルを形成するα1Aサブユニットのノックアウトマウス(α1A-/-)を調べた。 dn mouseでは、正常マウスと比較して、登上線維による多重支配の度合いには差はなかったが、登上線維刺激による興奮性シナプス後電流(EPSC)の振幅が小さく、decayが早く、また、2発刺激に対するpaired-pulse depressionが起こりやすかった。一方、もうひとつの興奮性入力である平行線維の刺激によるEPSCは正常であった。この結果から、dn mouseでは登上線維シナプスが相対的に弱化していることがわかった。 α1A-/-では、プルキンエ細胞樹状突起における登上線維支配領域の退縮と、平行線維支配領域の拡大がみられた。正常では、登上線維は近位樹状突起を、平行線維遠位樹状突起を支配している。α1A-/-の電気生理学的及び形態学的解析の結果、登上線維はより近位の樹状突起や細胞体にシナプスを形成しており、平行線維は遠位樹状突起のみならず近位樹状突起や細胞体にシナプスを形成していることが判明した。また、多くのプルキンエ細胞が複数の登上線維による多重支配を受けていた。対照的に、個々の登上線維の発生するシナプス電流の性質はほぼ正常であった。これらの結果は、発達期のプルキンエ細胞において、P/Qタイプカルシウムチャネルは登上線維シナプスの強化因子であり、また過剰な登上線維シナプスの除去に必要であることを示している。
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[Publications] Fukudome, Y.: "Insulin-like growth factor-I as a promoting factor for cerebellar Purkinje cell development."Eur.J.Neurosci.. 17. 2006-2016 (2003)
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[Publications] Hashimoto, K.: "Functional differentiation of multiple climbing fiber inputs during synapse elimination in the developing cerebellum."Neuron. 38. 785-796 (2003)
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[Publications] Ohno-Shosaku, T.: "Postsynaptic M_1 and M_3 receptors are responsible for the muscarinic enhancement of retrograde endocannabinoid signaling in the hippocampus."Eur.J.Neurosci.. 18. 109-116 (2003)
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[Publications] Takeda, Y.: "Impaired motor coordination in mice lacking neural recognition molecule NB-3 of the contactin/F3 subgroup."J.Neurobiol.. 56. 252-265 (2003)
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[Publications] Kitao, Y.: "ORP15O/HSP12A regulates Purkinje cell survival : A role for ER stress in cerebellar development."J.Neurosci.. 24. 1486-1496 (2004)
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[Publications] Miyazaki, T.: "P/Q-type Ca^<2+> channel α1A regulates synaptic competition on developing cerebellar Purkinje cells."J.Neurosci.. 24. 1734-1743 (2004)
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[Publications] Kano, M.: "Retrograde modulation of synaptic transmission mediated by endogenous cannabinoids."Curr.Neuropharmacol.. 2. 49-57 (2004)
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[Publications] Kano, M.: "Endocannabinoid-mediated modulation of excitatory and inhibitory synaptic transmission. In : EXCITATORY-INHIBITORY BALANCE.(T.K.Hensch, M.Fagiolini, (eds))"Kluwer Academic / Pllenum Publishers, New York/Boston/Dordrecht/London/Moscow. 11 (2003)
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[Publications] 橋本浩一: "小脳シナプスの機能発達、可塑性および機能調節におけるグルタミン酸シグナル伝達の役割(脳血管障害による「神経細胞死」の予防と治療)(川合述史/編)"クバプロ. 16 (2003)
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[Publications] 狩野方伸: "内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達 学術月報"日本学術振興会. 5 (2003)
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[Publications] 橋本浩一: "発達期小脳における登上線維シナプスの機能分化 実験医学(御子柴克彦、真鍋俊也、三浦正幸/編)"羊土社. 6 (2003)
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[Publications] 橋本浩一: "発達期小脳におけるシナプスの機能分化 蛋白質 核酸 酵素 49 No.3(増刊号/神経回路の機能発現のメカニズム)(大森治紀、渋木克栄、 野田亮、山森哲雄/編)"共立出版. 7 (2004)