2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾藤 晴彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (00291964)
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Keywords | CREB / actin / calcium / Rho / シナプス |
Research Abstract |
本年度においては、1)新規CREBキナーゼ候補分子の探索と機能解析を、さらに2)シナプス活動からアクチン細胞骨格への新たな情報伝達の流れ解明を行った。 1)新規CREBキナーゼ候補分子の探索と機能解析 CREB活性化に関与する新規キナーゼ候補として、CaMKIVの活性中心・活性化ドメインと類似性のある分子を3種類単離した。これら3種類のキナーゼは、発生初期より神経系に特異的に発現しており、いずれも、可塑性の高い組織である嗅球、大脳皮質、海馬、小脳顆粒細胞などに多く発現していた。現在その蛋白化学的性質を解折中である。今後の解析により、シナプス活動と長期可塑性を結ぶCREB活性化過程において、シナプスCa^<2+>応答→CREBキナーゼ活性化→CREBSer133リン酸化→遺伝子発現という情報の流れの多様性と多層性の実体を明らかにしたい。 2)シナプス活動によるアクチン細胞骨格の制御 成熟した神経回路網においても、神経活動依存性にシナプスの形態的特徴が修飾されたり、情報伝達分子の局在が変化することが報告されている。このような空間的制御に関する事象の背景には、細胞膜や分子局在の非対称性を生み出すダイナミックな細胞骨格再編成が存在すると予想されているが、その詳細は明らかではない。そこで我々は、GFPとアクチン分子の融合蛋白を作製し、adenovirusを用いて神経細胞に導入し、生きた海馬培養神経細胞の形態やアクチン細胞骨格を可視化した。その結果、神経活動依存的に発生するCa^<2+>流入の組み合わせにより細胞骨格再構築の分布が制御されることを明らかにし、さらにカルシウムの局所流入がスパイン形態調節に大きく寄与している機構を解明した(古屋敷ら、投稿中)。
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[Publications] Yamamoto M, Hilgemann DH, Feng S, Bito H, Ishihara H, Shibasaki Y, Yin HL.: "Phosphatidylinositol 4,5-bisphosphate induces actin stress fiber formation and inhibits membrane ruffling in CV1 cells"J.Cell Biol. 152. 867-876 (2001)
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[Publications] Yamasaki T, Kawaji K, Ono K, Bito H, Hirano T, Osumi N, Kengaku M: "Pax6 regulates granule cell polarization during parallel fiber formation in the developing cerebellum"Development. 128. 3133-3144 (2001)
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[Publications] 古屋敷 智之, 尾藤晴彦, 成宮周: "Rhoと細胞骨格制御 in シグナル伝達:細胞運命と細胞機能を制御する仕組み"西田栄介, 大野茂男編, 共立出版. 49-67 (2001)