2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053264
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平田 たつみ 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (80260587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 能彦 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (00322751)
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Keywords | 軸索伸長 / 神経 / 発生 / 細胞骨格 / 成長円錐 |
Research Abstract |
発生時、神経の軸索は、その先端にある成長円錐で周囲の環境を探りながら、適切な方向へと伸長する。軸索伸長の分子機構を探る目的で、マウス嗅球軸索の培養下での伸長に影響を与えるモノクローナル抗体の作成を試みた。その結果、この軸索伸長を強力に阻害するモノクローナル抗体 H1-1B4 を単離した。この抗体は、成長円錐の先端の膜蛋白質に結合する。伸長中の軸索に H1-1B4 抗体を添加すると、すみやかに成長円錐の前進が停止した。この時興味深いことに、成長円錐の形態は保たれ、成長円錐上にある糸状突起の運動性も維持されていた。この点はこれまでに解析が行われた軸索反発因子の活性とは明らかに異なる。 H1-1B4 抗体の認識する抗原遺伝子をクローニングしたところ、35k ダルトンの4回膜貫通蛋白質 M6a をコードしていた。M6a たんぱく質を培養株細胞に強制発現すると、細長い突起が多数形成され、この突起上に M6a たんぱく質が濃縮するのが観察された。この突起には、actin 線維や微少管などの細胞骨格はほとんど検出できなかった。M6a を強制発現した株細胞を経時的に観察すると、生じる突起は、細胞が移動した後に足跡のようにのこる退縮線維であることが明らかとなった。現在のところ、この退縮線維形成の生理的意義については明らかではないが、H1-1B4 抗体添加により退縮線維形成も阻害されることから、M6a たんぱく質の何らかの機能を反映した現象であると考えられる。 これまで軸索伸長機構については、細胞骨格を中心として研究が進められており、細胞外と細胞骨格との接点である膜たんぱく質の役割についてはほとんどわかっていない。M6a はこのような位置で軸索伸長を制御する分子として期待できる。
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[Publications] T. Hirata, H. Fujisawa, J. Y. Wu, Y. Rao: "Short-range guidance of olfactory bulb axons is independent of repulsive factor slit"J. Neurosci... 21. 2373-2379 (2001)
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[Publications] T. Hirata, T. Nomura, Y. Takagi, Y. Sato, N. Tomioka, H. Fujisawa, N. Osumi: "Mosaic development of the olfactory cortex with Pax6-dependent and -independent components"Dev. Brain Res.. (in press). (2002)
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[Publications] H. Tozaki, T. Kawasaki, Y. Takagi, T. Hirata: "Expression of Nogo protein by growing axons in the developing nervous system"Mol. Brain Res.. (in press). (2002)