2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053265
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
広海 健 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (70291888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 美穂 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (40370118)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経芽細胞 / 幹細胞プログラム / seven-up / グリア細胞 / 神経細胞 |
Research Abstract |
我々は,ショウジョウバエの中枢神経系において幹細胞的な性質を持つ神経芽細胞が,いかにして多くの種類の神経細胞を生み出すのかを解析している.神経芽細胞は分裂によって自己複製しながら多くの子孫を生み出し,様々な神経細胞やグリア細胞を含む細胞系譜を作り出す.分裂毎に異なる種類の細胞を生み出すためには,神経芽細胞は時間とともに自らの性質を変化させていかなければならない.それぞれの神経芽細胞に内在するこの「性質の変化」は,神経芽細胞がHunchback,Kruppel,PDMといった転写因子を順次発現していくことによって担われていることが知られている.しかし,いかにして神経芽細胞がこれらの転写因子の発現を切り替えていくのかは全くわかっていない.本年度はこの過程で核内リセプター型の転写因子Seven-upが極めて重要な役割を果たしていることを示した。 seven-up遺伝子はショウジョウバエ胚腹部神経節のほとんどすべての神経芽細胞で発現する.しかし,その発現は神経芽細胞の細胞系譜の中で特定の時期に限られており,神経芽細胞に「時間情報」を提供する良い候補である.Seven-upの変異胚では複数の神経芽細胞系譜においてHunchbackからKruppelへの発現切り替えが正常に起こらず,神経芽細胞は正常型より長期間Hunchbackを発現し続けることがわかった.この異常の結果,これらの神経芽細胞は正しい細胞種多様性を作り出せず,本来細胞系譜の初期にのみ生み出す神経細胞種を過剰生産する。 神経細胞の多様性を作り出すためには,神経芽細胞が幹細胞プログラムを修正し,完全な自己再生ではなく時間とともに性質を変化させることが必須である.Seven-up変異では,神経芽細胞が単純な幹細胞的性質を採ってしまうと解釈できる.つまり,Seven-upは幹細胞プログラム改変のための必須の因子である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Niwa, N., Hiromi, Y., Okabe, M.: "A conserved developmental program for sensory organ formation in Drosophila melanogaster."Nature Genetics. 36. 293-297 (2004)
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[Publications] Yamada, T., Okabe, M., Hiromi, Y.: "EDL/MAE regulates EGF-mediatedinduction by antagonizing Ets transcription factor Pointed."Development. 130. 4085-4096 (2003)
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[Publications] Yuasa, Y., Okabe, M., Yoshikawa, S., Tabuchi, K., Xiong, W.C., Hiromi, Y., Okano, H.: "Drosophila homeodomain protein REPO controls glial differentiation by cooperating with ETS and BTB transcription factors."Development. 130. 2419-2428 (2003)
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[Publications] Liu, Q.X., Jindra, M., Ueda, H., Hiromi, Y., Hirose, S.: "Drosophila MBF1 is a co-activator for Tracheae Defective and contributes to the formation of tracheal and nervous systems."Development. 130. 719-728 (2003)