2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12053265
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
広海 健 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (70291888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 美穂 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (40370118)
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Keywords | ショウジョウバエ / COUP-TF / Seven-up / 神経細胞 / rasシグナル / Sprouty / 転写因子 |
Research Abstract |
神経回路の構築には、神経細胞の特異化やその制御が極めて正確に行われなければならない.我々は,ショウジョウバエ複眼の光受容細胞のニューロン分化において,核内リセプターCOUP-TFのショウジョウバエホモログであるSeven-upが,神経細胞数の恒常性維持に必須の働きをしていることを示した. ショウジョウバエ複眼において,ニューロンはEGFによって活性化されるrasシグナルによって誘導される.ニューロンになりうる性質を持っている細胞は多数存在するのに,各個眼には必ず8個のニューロンが誘導され,偏差は0である.拡散性の因子による誘導がこのような高い精度で行われるには,誘導を正に制御するだけでなく,シグナル経路を負に制御することが重要な寄与をしていると考えられる.我々はこの正確な誘導は,転写因子Seven-upが2種類のrasシグナル抑制因子の発現を細胞種特異的に制御することによって達成されていることを見いだした.Seven-upはR1/R3/R4/R6の4個のニューロンでのみ発現し,rasシグナルの抑制因子をコードするsprouty遺伝子の転写を抑制する.そのため,これらの細胞ではrasシグナル活性が上昇し,rasシグナル依存的に転写されるargos遺伝子の発現が上昇する,Argos蛋白質は,分泌されて周囲の細胞のEGF受容をおさえることによってニューロン分化を抑制する.Seven-up変異やsprouty変異などにおいてこのシステムが破綻すると個眼内の神経細胞の数はもはや一定ではなく,大きなばらつきが生じる.つまり、個眼の神経細胞数の恒常性は,細胞自立的な抑制と非自立的な抑制の拮抗作用により維持されている.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Coactivator MBF1 preserves the redox-dependent AP-1 activity during oxidative stress in Drosophila2004
Author(s)
Jindra, M., Gaziova, I., Uhlirova, M., Okabe, M., Hiromi, Y., Hirose, S.
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Journal Title
EMBO J. 23
Pages: 3538-3547
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