2000 Fiscal Year Annual Research Report
GABA合成酵素変異マウスにおける情動行動異常のグルタミン酸、モノアミン神経伝達
Project/Area Number |
12053273
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小幡 邦彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (60013976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 幸一 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50194907)
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Keywords | 遺伝子ノックアウトマウス / GABA / グルタミン酸脱炭酸酵素 / 情動行動 / 扁桃体 / 恐怖 / パッチクランプ |
Research Abstract |
GABAは主要な抑制性神経伝達物質であるので、その作用はあらゆる脳機能の円滑な遂行に関わっていると考えられる。これを明らかにする切り口として、われわれはGABA合成酵素GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)の遺伝子ノックアウトマウスを作成し、その脳機能を解析している。GADのアイソフォームのひとつであるGAD65が欠損したマウスでは成長にともなって脳内GABAが30-50%減少し(脳部位により異なり扁桃体、視床下部では高度)、てんかん様発作を起こすが、このほかに各種情動行動テストで異常がみられた。すなわち一般的行動、日周リズムや水迷路学習は正常であるが、明暗回避テスト、抗不安薬の効果、侵入者攻撃テスト、恐怖条件付けが異常であり、このマウスは不安が強い、恐怖反応が異常である、攻撃性が低い、無力感は低いことが示唆された。恐怖等の情動に関連する部位の扁桃体のシナプス機能をしらべるために、扁桃体のスライス標本を作成し、パッチクランプ法によってニューロンのシナプス活動を記録分析した。GABA作動性抑制性伝達は低下しており、グルタミン酸作動性興奮性伝達が高進していることがわかった。さらにグルタミン酸性伝達、ドーパミン性伝達に関連する各種向精神薬の効果、扁桃体マイクロダイアリシスによるアミノ酸、モノアミンの動態をしらべている。最近、精神分裂病や燥うつ病ではモノアミン系単独でなく複数の神経伝達物質系の関与が想定されており、疾患モデルとしてこのマウスの解析を続ける予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Stork O. et al.: "Postnatal development of a GABA deficit and disturbance of neural functions in mice lacking GAD65."Brain Res.. 865・1. 45-58 (2000)
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[Publications] Makinae K. et al.: "Structure of the mouse glutamate decarboxylase 65 gene and its promoter : Preferential expression of its promoter in the GABAergic neurons of transgenic mice."J.Neurochem.. 75・4. 1429-1437 (2000)
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[Publications] 小幡邦彦: "グルタミン酸デカルボキシラーゼ・ノックアウトマウスでみたGABAのはたらき"自律神経. 37・2. 191-194 (2000)
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[Publications] 小幡邦彦,柳川右千夫: "2種類のGADの機能"CLINICAL NEUROSCIENCE. 18・7. 105 (2000)
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[Publications] 柳川右千夫,小幡邦彦: "神経伝達物質を決定する遺伝子"脳の科学. 22・9. 1031-1034 (2000)
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[Publications] 小幡邦彦: "神経系:神経伝達物質の合成と代謝"生体の科学. 51・5. 447-448 (2000)
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[Publications] Obata K. ら(分担執筆): "Control and Diseases of Sodium Dependent Transport Proteins and Ion Channels."Elsevier, Amsterdam. 440 (2000)
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[Publications] 小幡邦彦(分担執筆): "脳神経科学イラストレイテッド"羊土社、東京. 364 (2000)