2001 Fiscal Year Annual Research Report
年金をめぐる世代間の利害調整に関する経済理論的・計量的研究
Project/Area Number |
12123204
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 努 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90313444)
北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (70313442)
安田 聖 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70115955)
宇野 富美子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (20017669)
小塩 隆士 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50268132)
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Keywords | 基礎年金 / 国庫負担 / みなし掛金建て方式 / 二重の負担 / 賦課方式 / 積立方式 / 拠出と給付の関係 / 最低保障額 |
Research Abstract |
本年度における研究実績の概要は次のとおりである。 1.基礎年金の国庫負担をどうするかについては様々な考え方がある。諸外国の例をみると、オーストラリアのように全額国庫負担とするものの、ミーンズテストつきとして高齢者のうち約4分の1は全く受給できなくし、他の4分の1も減額つきとするなどして財源の節約を図っている。またカナダでは全額国庫負担であるものの、高齢者の5%は減額つきの基礎年金を受給する一方、低所得者には別途、補足年金(全額国庫負担)を上乗せしている。さらにスウェーデンでは年金受給額に最低保障水準を設定し、それと他の年金給付との差額を国庫が負担している。一方、イギリスでは新たに国庫第2年金や年金クレジットを低所得者に付与しようとしている。総じて国庫が負担すべき年金給付は何かについての議論が先にあり、財政の制約が強い中で、その限定が厳しく行われている。日本でも、この考え方の延長で基礎年金の給付を再設計する必要がある。 2.若者の年金不信を取り除くためには、拠出と給付の関係を強めて納めた保険料相当分が必ず老後に返ってくるという安心感を与える必要がある。そのための具体的な方法として各国が今、真剣に検討しているのは「みなし掛金建て方式」への切りかえである。この切りかえによって「二重の負担」問題を回避することができる一方、賦課方式を維持しながら積立方式のメリットを享受することができる。スウェーデン、イタリア、ポーランド、ラトビア等がすでにそれへの移行を実施している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 高山 憲之: "世代間の公平性をどう考えるか"国立社会保障人口問題研究所編『社会保障と世代・公正』. 第4章. 75-87 (2002)
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[Publications] Takayama, Noriyuki: "Pension Reform in Japan at the Turn of the Century"Geneva Papers on Risk and Insurance. 26(4). 565-574 (2001)
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[Publications] Kitamura, Y., Takeyama, N., Arita, F.: "Household savings in Japan Revisited"Research in Economics. 55. 135-153 (2001)
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[Publications] 祝迫 得夫: "資産価格が消費に与える影響について"経済研究. 53(1). 64-78 (2002)
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[Publications] 伊藤 隆敏: "日本の対外経済政策"経済研究. 53(1). 1-17 (2002)