2003 Fiscal Year Annual Research Report
年金をめぐる世代間の利害調整に関する経済理論的・計量的研究
Project/Area Number |
12123204
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 努 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90313444)
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
伊藤 隆敏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30203144)
祝迫 得夫 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (90292523)
小塩 隆士 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50268132)
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Keywords | 公的年金 / バランスシート / 債務超過 / 若者の年金離れ / 世代重複モデル / 職能資格制度 / 職務等級制度 / 役割等級制度 |
Research Abstract |
本年度における主要な研究成果は次のとおりである。 1.公的年金問題はバランスシートをみることによって、はじめて正しく認識することができる。日本の公的年金は1999年度末時点で600兆円弱の債務超過(過去拠出対応分)に陥っていた。 2.年金保険料を引き上げると将来拠出対応分の資産は負債を上回ってしまう。若い人にとって年金保険料負担の方が給付より多いことになり、かれらの年金離れがいっそう進む。 3.基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げると、経済的に恵まれた年金受給者も税金負担の年金給付をその分だけ多く受給することになり、税金の無駄づかいが拡大してしまう。 4.出生率を内生化した世代重複モデルを想定することにより、賦課方式下の公的年金改革や子育て支援の効果を比較したところ、開放モデルと閉鎖モデルのどちらを想定するか、また、利他的な遺産行動を想定するかどうかで結果が微妙に異なることが判明した。 5.日本企業の報酬構造を決定するもっとも重要な要因は職能資格であることが企業内の人事データで明らかになった。 6.さらに日本企業は職能資格制度を職務等級制度・役割等級制度へ改めつつあり、査定の効果を強め、賃金と仕事を直接関連づける方向にあることも明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 高山憲之: "年金改革:バランスシート・アプローチ"経済研究. 55(1). 38-50 (2004)
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[Publications] 祝迫得夫: "日本の株式市場のパズル"フィナンシャル・レビュー. (近刊)(未定). (2004)
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[Publications] 都留 康: "日本企業の報酬構造"経済研究. 54(3). 264-285 (2003)
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[Publications] 吉田 浩: "政権交代と財政改革に関する分析"東北文化学園大学 総合政策学部 紀要. 13. 1-12 (2003)
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[Publications] 渡辺 努: "供給ショックと短期の物価変動"経済研究. 54(3). 206-222 (2003)
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[Publications] 江口隆裕: "税方式年金の批判"年金と経済. 22(5). 90-95 (2004)
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[Publications] 高山憲之(編): "日本の経済制度・経済政策"東洋経済新報社. 308 (2003)