2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12124202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 文夫 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80159095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BRAUN Richard A 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (90329334)
塩路 悦朗 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (50301180)
井堀 利宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40145652)
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Keywords | 全要素生産性 / 課税制度 / 公債残高 / 中央銀行 / 利子率の期間構造 / 資産価格 |
Research Abstract |
林は,前年度に行った1990年代の停滞の研究をさらに精緻化する作業をおこなった。とくに,代表的個人の効用関数のいくつかについて,均衡の計算をするプログラムを開発中である。また,戦前の日本経済の停滞と1990年代の停滞が同じ原因によるものではないかという問題意識のもとに,戦前の全要素生産性(TFP)を計測した.1990年代の説明に用いたモデルにより,戦前のTFPの動きが停滞を説明できるかという研究に着手した。 井堀は,中央政府と地方政府の財政関係をモデル化する研究を前年度に引き続き行った。モデルの基本的な特徴は前年度と同じであるが,とくに,閉ループ解に焦点を当てて,数多くの地方公共団体が非協力的に動学的な最適行動をする場合,中央政府がどのような再分配手法を用いれば,パレート最適解に近づけることができるのかを研究した。主要な結果としては,地方の利益団体による,現在の交付税制度に基準財政需要額に相当する予算獲得行動に対して,中央政府が課税し,それの一部を地方政府に配分する仕組みが有効であることを示した。また,財政赤字の維持可能性について,最新のデータを用いて再推計し,国と地方政府の両方の財政赤字を分析対象とすると,1990年代後半のデータをより多く推定期間に入れるほど,維持可能性が困難になることを示した。また,少子高齢化社会において今後財政需要の急速な増加が予想される社会保障関係費について,その効率化を図るために,どのような制度改革が可能であるのかを様々な角度から研究した。 塩路とブラウンが前年度に行った研究(金融政策が,利子率の期間構造・生産・資産価格におよぼす影響を,計量経済学的手法を用いて分析すること)を2つの方向に発展させた。第一に,推定する方程式に,複数の構造変化を許す手法を開発した。第二に,推定結果が既存の最近主流となったマクロ理論モデル(価格に粘着性が存在するモデル)とどの程度整合的なのかを検討した。本特定領域発足以来行ってきた二人の研究を3つの論文の形にし,学術雑誌に投稿した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ihori, Toshihiro, Takero Doi: "Fiscal Reconstruction and Local Interest Groups in Japan"Journal of the Japanese and International Economics. 16,3. 492-511 (2002)
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[Publications] 塩路悦郎 他: "景気指標の新しい動向"経済分析(内閣府経済社会総合研究所). 166. (2003)
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[Publications] Ihori, Toshihiro: "Government Deficits and Fiscal Reform in Japan"Kluwer academic Publishers. 171 (2002)