2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12124204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 正寛 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40114988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井堀 利宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40145652)
土居 丈朗 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (60302783)
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Keywords | 財政再建 / 規制改革 / クラウディングイン / 政府債務 / 地方債 / 公債の持続可能性 / 先送り / 長期関係 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者を中心として、日本の政治経済の現状を踏まえて、経済政策の政治的意思決定に関して経済学の分析手法を用いた考察を続けている。 井堀は、規制緩和による直接効果が大きいと思われる電気通信業の投資拡大が、経済全体の投資に与える影響についてVAR推計した。この研究は、ミクロ的手法を通じて一部の産業に影響を与えれば、経済全体にクラウド・イン効果が生まれるだろう、という視点に基づいている。政府支出や減税で民間需要を量的刺激するのではなく、限定的な財政刺激や規制改革などミクロ的な手法も用いて民間の活力を誘発させる(クラウド・インする)政策的対応が重要である。 わが国の地方自治体の債務も、国と同様無視できない規模になっている。地方分権に向けた「三位一体の改革」が議論される中で、土居は本年度、この債務依存から脱却するために財政制度をどう改めるべきかを分析した。その結果、地方債は、市場の規律付けをより働かせるよう、財政状況に応じて発行金利等に差異が出るようより自由な起債を可能にし、地域間競争が働く形で自治体の共同発行を促進する制度を構築すべきことなどの政策的含意を得た。その他、これらと関連して、公会計制度のあり方や政府債務の持続可能性などを研究し、論文として公表した。 市場と制度の代替可能性について、藤原は自発的繰り返し囚人のジレンマを分析し、協力行動は長期関係を基礎にしているものの、長期関係を強制すると逆に協力が生まれないことを見いだした。企業内・企業間の信頼のためにも、競争と自由が必要だという含意である。また、責任ある地位に短期間しかとどまらないという日本の経営者や官僚の慣行が、成果に比べて費用が先行する行為を先送りさせることになるという研究結果を得た。
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Research Products
(12 results)