2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12124207
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
HORIOKA C.Y. 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90173632)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 一夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90160746)
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
齊藤 誠 一橋大学, 経済学部, 教授 (10273426)
|
Keywords | 家計行動 / 消費 / 貯蓄 / 設備投資 / 遺産動機 / 賃金制度 / 成果主義 / 再分配 |
Research Abstract |
まず、齊藤誠氏らの投資行動に関する分析からは、キャッシュ・フローが不足しているために設備投資が低迷しているのではなく、企業内に収益性のある投資機会があるからこそ設備投資が不振であるということが分かった。また、同氏らの消費行動に関する分析からは、リスクに起因する予備的貯蓄動機と、不確実性に起因する貯蓄動機が別のものであるということが分かった。 小川一夫氏らの研究では、1990年代における設備投資の落ち込みが企業の直面するagency costの上昇によってもたらされたことを実証的に明らかにしている。 大竹文雄氏の研究では、成果主義的な賃金制度の変更が、労働者の労働意欲を高めるための条件を、アンケート調査をもとに実証分析を行っている。また、同氏らの別の研究では、企業成長の低下が、労働意欲に悪影響を与えて更なる企業成長の低下をもたらすという悪循環の可能性について、中部地域の企業と従業員へのアンケートをもとに計量分析を行っている。 C.Y.Horiokaらの遺産動機などに関する分析からは、日本人はおおむね利己的であり、遺産を残す場合でもそれが老後の世話に対する見返りまたは死亡時期の不確実性から来る予期せぬ遺産であるということが分かった。また、Horiokaらの日本人のリスクへの対処法に関する分析からは、予期せぬ出来事が発生した時には、日本人は主に自分の貯蓄の取り崩しに頼り、家族には精神的には頼るが、経済的にはそれほど頼らないということがわかった。 大竹・齊藤両氏の消費に関する完全保険仮説に関する分析からは、日本では、消費に関する完全保険仮説は成り立っておらず、日本の家計は完全なリスクシェアリングは行っていないということが分かり、これは上述のリスクへの対処法に関するHoriokaらの分析結果と整合的である。また、大竹氏らの「再分配支持の決定要因」に関する研究は、所得再分配制度の是非について検討している。
|