2002 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込むプレートと核の相互作用と核マントル境界の物質科学
Project/Area Number |
12126201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 友明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40312540)
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281975)
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
八木 健彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (20126189)
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Keywords | 核マントル境界 / ダイヤモンドアンビル / 放射光 / 下部マントル / FeSi / (Mg,Fe)O / FeH / MORB |
Research Abstract |
本年度においては、地球内部における核とプレートの反応に関連する以下の研究を行った。 1、水循環の研究:プレートの沈み込みにともなって、下部マントルへ水が運ばれる効率を明らかにするために、ペリドタイト水系、MORB水系の相関係を明らかにした。そして、下部マントル最上部に脱水域が存在し、マントル遷移層が水の貯蔵場所になることが明らかになった。 2、含水鉱物の状態方程式:δ相やEgg相などの含水相の状態方程式を明らかにした。 3、核マントル境界条件での(MgFe)Oの安定相:核マントル境界条件に相転移が存在する可能性を検証した。その結果、(MgFe)OはB1(岩塩)相が安定であり、高圧相への相転移は存在しないことが明らかになった。 4、鉄とペロブスカイト反応の研究:27〜100Gpa付近の条件において、金属鉄とMgペロブスカイトの間の反応を見出した。高温高圧条件で融解金属鉄とペロブスカイトは反応し、鉄中にシリコンが溶け出し、マグネシオブスタイトが生じる反応が起こることを明らかにした。このことは、下部マントルを沈降する金属鉄にシリコンが溶け出すことを明らかにした。これによると、シリコンは外核の軽元素の重要な候補となることが明らかになった。 5、核の条件でのFeSi系の状態方程式の解明:200Gpaまでの条件で、鉄シリコン合金の状態方程式を明らかにした。鉄シリコン合金は鉄よりも外核の条件でも非圧縮であることが明らかになり、それにもとづいて、外核のシリコン量を推定した。 6、高温高圧下でのFeH系の相平衡と核内部の水素:金属鉄水素系、金属鉄と水の反応を約80Gpaの条件まで明らかにした。その結果高温高圧下でFeHが安定に存在することが明らかになった。このことから核に水素が存在し得ることが明らかになった。
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[Publications] 大谷栄治, 久保友明, 鈴木昭夫: "プルーム内部でなにが起こっているのか、超高圧実験から見たプルームテクトニクス"熊沢峰夫、丸山茂徳編、プルームテクトニクスと全地球史解読. 314-322 (2002)
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[Publications] 大谷栄治, 久保友明, 鈴木昭夫: "水が地球深部を支配する-超高圧実験の最新の成果"熊沢峰夫、丸山茂徳編、プルームテクトニクスと全地球史解読. 323-325 (2002)
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[Publications] Suzuki, A., Ohtani, E., Funakoshi, K., Terasaki, H., Kubo, T.: "Viscosity of albite melt at high pressure and high temperature"Physics and Chemistry of Minerals. 29. 159-165 (2002)
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[Publications] Kubo, T., Ohtani, E., Kato, T., Urakawa, S., et al.: "Mechanisms and kinetics of the post-spinel transformation in Mg_2SiO_4"Physics of The Earth Planetary Interiors. 129. 153-171 (2002)
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[Publications] 近藤忠: "ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧力実験と放射光実験の進歩"高圧力の科学と技術. 12・2. 112-119 (2002)
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[Publications] Kubo, T., Ohtani, E., Kondo, T., Kato, T., et al.: "Metastable garnet in oceanic crust at the top of the lower mantle"Nature. 420・6917. 803-806 (2002)